医療事務の受付業務の中で頻繁に行う事といえば毎回の保険証の確認だと思います。
ただ、医療機関によって、「毎月」だったり「毎回」と確認の頻度が異なってくることがあります。
それは一体なぜでしょうか?
また、保険証をコピーする医療機関としない医療機関の違いは?
明確に答えることができる医療事務員さんって意外と少ないかもしれませんね。
本記事では、医療機関向け(特に医療事務員さん)に保険証を確認しなければいけない根本的な理由について書いていきます。
保険証を確認する理由
原則として、保険診療を医療機関で受ける場合は保険証の提示が求められます。
この根拠は、健康保険法の規定に基づく、平成16年2月27日付厚生労働省令第15号、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」に示されています。
療養担当規則第3条
「保険医療機関は、患者から療養の給付を受けることを求められた場合には、その者の提出する被保険者証によって療養の給付を受ける資格があることを確かめなければならない」
とあります。
つまり、原則として保険医療機関の責任として、医療保険の給付を受ける資格のある患者かどうか、確認する義務が求められているわけですね。
保険証確認の頻度
来院するたびに確認することが第3条の趣旨だと思いますが、 実際問題として、来院の都度確認する作業は手間がかかり大変です。
なので、月に一回とか、職場が変わって保険証も変わった場合などに確認を求める医療機関が多いと思います。
毎日のように来ている患者さんからしたら、いくら義務とはいえ、毎回保険証の確認をされるのは面倒だし、煩わしいと感じるはずです。
患者さんのニーズに合わせるのであれば、月一ぐらいがちょうどよいのかもしれません。
これはあくまで、参考程度で、一番良いのは受診の度に確認することです。
そうすることで、資格喪失後の受診を少しでも減らせるので。
保険証のコピーはダメ
これは意外とやっている医療機関は多いかと思いますが・・・
これって実はやってはいけない行為らしいです。
私も、知らずにずっと保険証のコピーを取っていたのですが、以前、病院に厚生労働省の指導が入った際に
「保険証のコピーを取るのはダメですよ。」
とご指摘をうけたことがあります。
保険証の確認は重要ですが、保険証も個人情報にあたるので、それをコピーするというのは個人情報の取り扱い上よくないのでしょう。
レセプト請求には保険証の保険者番号・記号・番号さえ分かればいいので、コピーを取る必要はないはずという考え方。
ちなみにコピーだけではなく、スキャナーなどでスキャンした電子媒体保存なども同じようにダメです。
保険証のコピーを取る場合
ただ、なにしろ忙しい病院などでは、保険証提示される度に一枚一枚を正確にチェックするには難しい場面もでてきます。
そうなってくると、保険証をコピーするという選択肢になってきますよね。
このとき、もしコピーをとるのであれば、一言患者さんに『保険証のコピーを取っていいですか?』という確認が必要になってきます。
もし、ここで患者さんが「嫌だ」と言ってきた場合にはあきらめましょう…
病院は患者さんに保険証のコピーを強要することでもできないですし、なにより禁止されていますので。
後々、確認したい気持ちはよくわかりますが、そこはしっかりと間違えないように保険者番号等を医事コンに登録をして管理していきましょう。
あくまで、医療機関としては”保険証のコピー、スキャンは取っていない”という事実が重要になってきます。
患者さんが保険証のコピーを持ってきたとき
たまに年配の患者さんで
「保険証を無くすといけないから、コピーを持ってきた」
というような患者さんがいますが・・・
こういった場合、保険証は基本的に原本確認なので、必ず原本を確認しなければいけません。
もしかしたら、コピーはあるけど原本は失効や、保険者へ返納などで持っていない可能性だってあります。
極端な話、他人の保険証をコピーして持ってきている可能性だってありますから(これはコピーに限った話だけではないですが)
とりあえず・・・
保険証のコピーを持ってきたら”怪しい”と思い警戒してください。
保険証確認のまとめ
保険証の確認の有無による請求誤りの責任のほとんどは、医療機関に課せられている事が多くなっています。
なので、保険証を確認した日付等、確認した事実をきちんと記録しておくことが大事になります。
特に、資格喪失後受診による返戻レセプトの場合の多くの原因は、患者が、回収されないままの古い保険証を窓口に提出するということです。
こういった事に後からでも対応できるように、「医療機関側としてはちゃんと保険証の原本を確認していますよ!」という事実をつくっていなければいけません。
でないと、照会等があったときに、そのまま受け入れてしまうことにもなりますからね!
また、現物給付(診察)したのに、たったひとつのことで返戻を食らうのも悔しいので、ぜひ保険証の確認は徹底していきたいですね。