通常、協会けんぽの人が仕事中にケガしたら労災っていうのはわかるんだけど、国保や一人親方が受診したときって労災使えるの?
どうしたらいいの?
って混乱するときがあるともいます。
意外と個人事業主(フリーランス)や一人親方が仕事中のケガで受診することって多いんです。
本記事では、そんなときの医療事務の対応方法について書いていきたいと思います。
保険証が国保の人が受診した場合の対応
国民健康保険加入の場合で、労災保険の適用事業、適用労働者、特別加入者でない場合は業務上の傷病であっても国保の給付が受けられる(国保法第56条)
※適用労働者とは
- 事業に使用され賃金を支払われるもの
- 雇用形態、雇用期間に関係なく適用
- 委任を受けて業務を行う者で、使用従属関係があり賃金支払いがあれば“労働者”とみなす
- 事業主体と一体で“使用される者”でない場合は労働者とみなさない
一人でも人を雇っている会社や個人事業所で、労働者(雇われている人)がケガをした場合、労働者は労災保険を使えるということになります。
例えば
パートやアルバイトの場合、社会保険に加入していない人は国保の場合があります。
そういった人たちも、労災は受けられるということです。
一人親方が受診した場合
地方(田舎)などではよくあるのですが、国保加入の一人親方がよく来院します。
上記(国保法第56条)からいくと、一人親方の場合は国保が使えるということになります。
『労災保険特別加入者証』持っていない場合は国保を使って請求してよいということになります。
労災にする場合もある
たまに、一人親方で『労災保険特別加入者証』を持っている場合があるので、そのときは地区労災保険加入組合等があるので、そちらの組合に5号用紙をお願いする。(任意の特別加入に入っている場合、国保は使えないので注意が必要です。上記、国保法第56条参照)
労災保険特別加入者証とは
まれですが…
後期高齢者の方が仕事中のケガで受診にきます。たぶん、個人事業だとは思うのですが…
さすがに労災はないだろうと思いつつ、一応、労災の特別加入に入っていないかとだけ声はかけています。
いまのところ私の経験上、後期高齢者で労災になった方はいません。
農作業中のケガってだいたいは個人の趣味で畑やってたりして仕事でないことが多いみたいです。
事業主が受診した場合
協会けんぽ(社保や組合)の事業主が仕事中のケガで受診した場合、基本的に労災は使えません。
ここで言う事業主は、国保の個人事業や一人親方ではなく協会けんぽに加入しているような大きな会社を経営している人です。
しかし、5人未満の就業人数であれば健康保険証を使えます。
〔厚生労働省保険局長通知「法人の代表者等に対する健康保険の適用について」(保発0701002平成15.7.1)より〕
“被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等(業務執行者を含む)であって、一般の作業員と著しく異ならないような労務に従事しているものについては、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による給付の対象とする。”
そもそも事業主は保険証がつくれるのか
健康保険 ⇒ 法人の代表でも“使用されるものでないもの(個人事業主とか)”も法人から給与をうけているものは“その法人に利用されるもの”として取り扱い、被保険者の資格取得ができる(昭24.7.28保発74) つまり保険証がつくれる
労災はなぜ使えないのか?
“使用されるものでない”場合は労災保険不適用→つまり使えない。
(健康保険法第1条)に基づき健康保険は使えるけど労災は使えない。
2003年7月の通知により、事業主は仕事のケガは労災が使えない代わりに、健康保険証が使えるということになったようです。
まとめ:国保の個人事業主は基本的には保険請求で対応
個人事業主も一人親方も基本的には保険証は国保だと思います。
そういった場合には、基本的には保険請求ができます。
通常の患者さんと同じ対応でOKです。
ただし、中には任意で労災保険に加入している個人事業主や一人親方もいるのでそういった場合は労災保険での請求になりますので注意が必要です。
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