
患者さんが医療機関を受診した際に、提示した保険証が資格喪失後のものであった場合、請求していたレセプトが返戻されことがあります。
このような時は、各医療機関はどのような対応をしているのでしょうか?
返戻に応じなければいけないのか。
それとも返戻に応じないのか。

その根拠について、医療事務員向けにまとめています。
返戻に応じない根拠
基本的な考えは、保険証の確認義務は医療機関にあります。
義務はありますが、患者さんが資格を喪失していたにもかかわらず、回収されないままの保険証を窓口に提出して、そのまま保険診療を受けたとしても医療機関はそれを把握することは難しいです。
対応策としては、医療機関側は保険証を確認をした!!という事実をカルテや電子カルテに記録を残しておく。(今は医事コンで保険証の確認履歴が確認できるシステムがついていたりする)
後日、そのことが証明できれば、この場合において医療機関では、資格喪失後の確認は不可能だった!!医療機関の確認誤りとは言えないわけです。
そして、医療機関に支払った医療費の調整は、保健者と無資格診療を受けた被保険者(患者)との間でやり取りをすることが基本です。
保険証の未回収などが原因で、医療機関に責任がない場合には、保健者が支払いの責任を負うというルールがあります。
療養の給付品に関わる返還措置 昭和30年2月1日付保発9号
給付期間満了保険医が認知できなかったため、同一傷病につき法定給付期間を超え療養の給付を受けたこと等、療養の給付返還せしむべき理由が被保険者の責に帰する場合であって、保険医がこれを認知しなかった場合においては、その旨並びに金額等を当該被保険者に通知し、直接被保険者から当該療養の給付費を返還させるものとすること
このように、資格喪失後に受診した場合は保険者が対応してくださいね!といった感じで、ちゃんと書いてあるわけです。
応じないときの対応
資格喪失後の受診で、返戻される場合にほとんどの場合が”照会”という形で支払基金などから
「保険証の受給資格喪失後の受診のため返戻してもいいですか?」
といった文章が事前に届きます。
そこで、「返戻に応じる」OR「応じない」という選択をさせられます。
ここの選択によって、その後レセプトが返戻されるかされないかが決定します。
返戻に応じる場合
「返戻に応じる」を選んだ場合は、後日に返戻レセプトとしてかえってくることになります。
当該月に保険証を確認していなかった場合などは、こちらに該当してくるかと思います。
あと、少し悔しくはなりますが、資格喪失後の受診で返戻と分かっており、尚且つ、新しい保険証の提示があった場合も、こちらの対応でよいかと思われます。
なぜなら、新しい保険証があれば再請求できるからです(社保→国保などの場合は月遅れ請求)。
保険証があり、病院に入ってくる金額としては変わらないから無理に「応じない」を選ばなくてもよいということです。
ただ、それでも、医事の作業が面倒くさくなるというデメリットはありますがね。
返戻に応じない場合
これは、当該月にちゃんと保険証の確認ができており、医療機関に非がないときに使用します。
上記でも触れたように、このときに、「応じない」を選んだ場合は、レセプトが返戻されることはありません。
治療費についても、被保険者(患者)と保険者とのやりとになるようです。
「うちの病院ではしっかり保険証の確認をしており、尚且つ、保険証の確認の記録をしっかりとっているよ」という場合は、こちらを選んだほうがよいでしょう。
まとめ
資格喪失後の返戻は、返戻を行う前に事前に”照会”という形で確認がきます。
そこで、確認した証拠があれば返戻に応じる必要はありませんし、逆に、確認をしていなければ返戻に応じる必要があります。
保険証の確認を”した” ”していない”で返戻されるのは悔しいので、ここら辺は”保険証を確認した”という事実と、記録をしっかりととっておくことが重要になってきます。
参考記事