〔PR〕 医療事務の知識

自立支援医療(更生医療)のメリットとデメリットは?わかりやすく説明します

『自立支援医療(更生医療)って申請してメリットあるの?』

『申請したらデメリットもあるのでは?』

自立支援医療(更生医療)(以下、更生医療)については、厚生労働省含め、各市町村で詳しい詳細が記載されていると思います。

 

だけど、自立支援医療(更生医療)について説明を聞いても『いまいち良く分からない…』

そんな事を考えている方に向けて、現役の医療事務員が内容をわかりやすく説明していきたいと思います。

この記事は、医療機関及び更生医療(透析患者)向けの内容ですが、自立支援の仕組みとメリット・デメリットを知るうえでは参考になるはずです。

 

自立支援医療(更生医療)とは

更生医療は、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できるものに対して提供される、更生のために必要な自立支援医療費の支給を行うものです。

厚生労働省ホームページより

 

更生医療の対象

ア.肢体不自由・・・関節拘縮→人工関節置換術

イ.視覚障害・・・白内障→水晶体摘出術

ウ.内部障害・・・心臓機能障害→弁置換術、ペースメーカー埋込術、腎臓機能障害→腎移植、人工透析

などの、対象疾患がある患者さんは、病院での負担金(支払う金額)が少なくなりますよ。

といった患者さんの経済的な負担を減らすものです。

 

私の病院では、透析も行っているので(内部障害に該当する)ので更生医療を使用する患者さんが多いんです。

この記事では、透析の更生医療メインで話を進めていきたいと思います。

 

患者さんのメリット・デメリット

患者さんのメリット

患者さんのメリットはなんといっても、病院窓口での支払いが少なく済むといった事でしょう。

一般の透析患者であれば、、特定疾病療養受療証(いわゆる”〇マルチョウ”)で月に1万円の負担ですが(所得によって5千円だったり、2万円になるが)

 

更生医療を使った場合は月に5千円の負担になります。

(これも所得によって変わってきますが)

 

患者のデメリット

患者さんにとってのデメリットはないと言っていいでしょう。

あえて挙げるとすれば、更新の手続きをしなければいけないといったところでしょうか。

 

更生医療は適応期間が決まっており適応期間が最大で

  • 外来は1年間
  • 入院は3カ月

までと決まっています。

状況に応じて多少の違いはあります。

 

この更新期間を過ぎた場合には、再度、更新の手続きを行わなければいけません。

ここらへんの更新手続きが面倒くさい。ということがデメリットと言えるでしょう。

 

医療機関のメリット・デメリット

医療機関のメリット

患者さんの窓口での負担が減るので、その分、未収金が出る可能性が少なくなるといった面もあります。

患者さんも医療費の負担が軽くなれば、支払が滞ることもなくなりますからね。

医療機関にとって未収金対策は、永遠の課題といえるのでありがたい制度となっています。

 

医療機関のデメリット

更新時期の管理が大変

上記でも挙げましたが、期間を過ぎると更新の手続きを行わなければいけません。

この手続きがちょっとだけ大変です。

 

まず、更新期間を医療機関で把握しなければいけません。

本来は、患者さんも把握しなければいけない部分ですが、ほとんどの場合、患者さんは更新時期を把握していません。

 

医療機関側も、適応期間が過ぎたら更生医療としては請求できなくなるので、医療機関側から『更新の時期ですよ!』と促さなければいけません。でなければ、患者さんから更新の手続きをすることは少ないです。

だから、自然と病院の管理になっちゃうんですよね。

 

市町村によっては、”同意書”があったりするので、医療機関が患者に代わって、更新の手続きを行うことができます。

そうすると、自然と病院ですべてやってしまおう!!って流れになります。申請書から意見書の提出まで、全て病院でやってしまおうって感じです。

業務が忙しい時期と被ると、ここらへんがちょっとだけ大変に感じるときがあります。

 

意見書の作成がちょっと大変

上記の更新に合わせて、医療機関では、更生医療としての治療が必要かどうかの意見書を作成しなければいけません。

これもちょっとした手間がかかります。

透析やってるんだから、内容としては毎回同じなのに、その度に医師に意見書の作成を依頼しなければいけません。

 

医療機関でやることが多い

上記でも挙げたように、医療機関では手続きが多くなり手間がかかります。

一人分の更新手続きなら簡単ですが、一つの医療機関全体で考えたら、たくさんの患者さんの手続きを行わなければいけません。

 

そうなると、少し時間がかかってしまい、患者さんに迷惑をかけてしまうこともあります。

どんなに忙しくても、手続きを行う以上は、期限内にしっかりと仕上げていかないといけません。

 

忙しくてもやってよかったと思える時がある

疲れていると、更生医療の手続きが面倒だなーなんて思うこともありますが、その反面で患者さんから

「いつもごめんねー」とか

「面倒をかけるね!」とか

「ありがとうね!」

とか言われるとやっぱり嬉しく感じます。

ちょっと面倒だなーなんて思いながら作業をしていた自分が恥ずかしくなります。

 

実際に、更生医療を受ける患者さんは高齢者が多いので、自分で手続きに行くのが困難な場合も多いので、こうやって医療機関で手続きするのも悪くはないなと感じます。

 

なぜ、更生医療を使うのか

更生医療を使う患者さんで、制度の内容をよく理解していないまま利用している事があります。

なぜ、患者さんはよく理解しないままに更生医療を使うのでしょうか?

 

それは、市役所や役場が勧めるからです。

 

更生医療を使える患者のほとんどは”身体障害者手帳”を持っています。

更生医療(透析の場合)の申請には、障害者手帳の所持、若しくは申請中ということが必須です。

役場でマルチョウや障害者手帳の手続きを行う際に勧められるようです。

 

役場が勧めるメリット

役場が勧めるメリットとしては、保険者(市役所や役場、いわゆる市町村)が支払う医療費が少なくなるからです。

通常、国保のマルチョウの患者であれば、医療費の全額の内、5,000円(平均的な額として)を患者が医療機関に支払います。

 

そして、残りの医療費は病院から保険者(市町村)へ請求します。

保険者が残りの医療費を医療機関に支払うといった流れです。

特定疾病療養受療証(マルチョウ)≒保険者(市町村)が医療費を支払う

といった感じになります。

 

今度は、そこに更生医療が入ってくると

更生医療 = 国が医療費を支払う

 

医療費の負担が市町村と国で、それぞれ別れて支払われるので、市町村の負担が減るといったことになるので、市役所や役場は更生医療を勧めてるんですね。

 

医療費に関しては医療機関はあまり関係ない

上記の理由で役場や市役所は更生医療を勧めていますが、病院には医療費に関してはそこまで関係ありません。

なぜなら、病院はレセプト請求するだけで病院に入ってくるお金(保険請求した金額)は同じなのだから。

 

医療機関側としては、更生医療として請求するメリットって、冒頭で挙げた未収金を防ぐのが主なものかなと思います。

 

今後、更生医療を利用していくべきか

個人的には、更生医療を無理に使う必要はないと思っています。

なぜなら、上記で挙げたように、患者さんにとって面倒な手続きが多いからです。

しかし、それでも、患者の窓口での負担軽減を考えたら更生医療を利用する事が必須かもしれません。

 

それでも、やっぱり手続きが面倒だ!!というような患者さんもいるので、そういった方には下記のような案内をしてもいいかもしれません。

 

重度心身障害者医療費助成制度を案内する

重度心身障害者医療費助成制度を使って、医療費の払い戻しを受けている透析患者さんはたくさんいます。

でも、中には知らない人もいるので、再度、案内をしてあげます。

 

更生医療で窓口での負担が少なくなると言っても、患者さんからしたら最終的には重度心身障害者医療費助成制度で医療費は全額戻ってくるのだから、実質の負担額は変わらないんですよね。

そこらへんをしっかりと説明してあげる。

そうすれば患者さんも『じゃあ、わざわざ更生医療を申請なくてもいいや』となることもあります。

 

透析をしている人は、ほとんどの場合、障害者手帳を持っています。重度心身障害者医療費助成制度の対象者ということ。

 

まとめ:メリットとデメリットを考えたら申請はするべき

今回は、医療機関側の立場から書いて行きました。

更生医療は国が勧めている制度なので、対象患者にとっては、とても優遇された制度となっています。

身障者手帳を持っていれば、医療費は後から全額戻ってきますが、それでもやっぱり更生医療は便利な制度だと思います。

手続きが大変というのもありますが、長期間の治療の医療費の事を考えれば更生医療の申請は必須ではないでしょうか。

 

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  • この記事を書いた人

アドバーグ

未経験で医療事務に就職 ⇒ 一般企業 ⇒ 医療事務へ。ブラック企業を経てホワイト企業へ転職成功しました。現在は勤続10年、現役の医療事務員やっています。 刺激的な情報を発信したいと思いブログ運営中です。 犬より猫派です。 保有資格 ■診療報酬請求事務能力試験 ■医療事務認定実務者(R)試験

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