医療事務のメインの業務の一つとして電話対応があります。
電話対応は避けては通れない、絶対にしなければいけない業務となっています。
そんな電話対応の中でも、
- 患者さんからの電話
- 他医療機関からの電話
- 業者さんからの電話
などがあります。
患者さんや他医療機関からの電話対応はマニュアル作成されているところも多いかと思います。
ただ…
医師宛の怪しい業者(セールスや勧誘)などの電話に対するマニュアルはないのではないかなと思います。
そこで本記事では
- 怪しい電話の見分け方
- 怪しい電話の対応策
を紹介していきます。
そこらへんの実体験を含めてまとめています。
どんな業者が電話をかけてくるのか
医師宛の怪しい電話をしてくる業者はどんな業者なのでしょうか。
怪しい電話
- 不動産会社
- セミナーの勧誘
- 投資関係
などなどです。
あきらかに“怪しい”イメージの業界ですね。
なぜ医師宛てにわざわざ医療機関に電話をかけてくるのか
それはお金を持っているとわかっているからです。
医師が高い給料をもらっているという事は一般的にも有名ですよね。
だから、その手の単価が高い業者が買ってくれそうな人をターゲットにしてセールスの電話をかけてきます。
中には
- セラピスト(理学療法士や作業療法士)
- 薬剤師
- レントゲン技師
あてにかかってくることもあります。
病院で働く=高収入
というイメージなのでしょうか…
どんな口実を使って電話をかけてくるのか
医療機関あての電話で怪しい業者から
「○○不動産ですけど、○○先生に商品のご案内があります。お手すきでしょうか?」
なんてストレートに言う業者はありません。
実に巧妙なテクニックを使って医師に電話をつなげさせようとします。
どんな電話のかけ方をしてくるか、実際の例を出して紹介していきます。
事例①:知り合い風
業者「○○だけど、○○先生いる?」と知り合いっぽい雰囲気で話してきます。
事務「失礼ですが、ご用件は?」と聞くと
業者「○○からだから、言えば分かるから!!」と今度はちょっとキレ気味風
医師にはつながず、少しの時間保留にしていると電話が切れている…
やり口としては、医師の知り合いという前提で電話をつなごうとしています。
分かっていない新人さんとかは、気を利かせたつもり急いで電話を繋いでしまう。
といった感じです。
先生=待たせてはいけない
という恐怖からだったんですよね…
事例①の対応策
相手は用件を言ってこない場合が多いので、とりあえず用件を聞いてみてください。
事務「ご用件をお伺いしてよろしいですか?」
だいたいの場合は、その段階で電話を切られるはずです。
それでも、
怪しい業者「知り合いだからわかるって!」
と、食いついてくる場合は、一旦、保留にして時間をおいてください。
1分もして保留を解除すれば、電話は確実に切れているでしょう。
本当に知り合いなら、個人の携帯電話でやりとりするだろうし用件を伝えてくるはずです。
注意ポイント
- 業者はホントの知り合いみたいな感じ又は余裕ある感じで話してくるので、見極めは難しいが普通に考えて個人的な電話を病院にはかけてきません。
- キレ気味風に言ってくることもあるが、ビビらないように!!
事例②:偽名を使う
たまに、職員の名前や偽名の患者さんの名前を使って医師へつないでもらおうとするケースがあります。
怪しい業者
「患者の○○だけど、○○先生に相談があるから繋いでほしい」
「職員の○○だけど、○○先生へつないで」
などなどです。
職員が多い大きな病院は、職員の名前を全て覚えていることはないと思うので判断が少し難しいかもしれません。
事例②の対応策
これは比較的簡単で、落ち着いて名前をその場で調べればすぐに分かります。
落ち着いて確認すること
-
聞いたことがない職員名であれば総務や人事関係の人に確認をする
-
患者名だったら医事コンや電子カルテで検索をする
聞き覚えの無い名前の場合は必ず確認をとってからよいと思います。
そして、分からなけれ用件を細かく聞くことです。
だいたいはこの時点で電話が切れます。
ここに注意
- ホントに患者さんからの電話のときがあるので、そのときは細かく話を聞いてあげてください。患者さんなら訴えがあり話をしてくるはず。通常の患者対応をしましょう。
- 職員を名乗る場合、周りに人事や総務関係の人がいなければ担当部署まで聞いてみましょう。その時点で電話は切れるはず。もし、それっぽい部署を言ってきたら、その部署の人に内線で「○○さんって職員はいますか?」と確認しましょう。
事例③:病棟宛にもかかってくる
これは一番危険なパターンかもしれません。
上記の例②と少し似ているのですが
怪しい業者「職員(or患者)の○○ですが、病棟(若しくはリハビリ室や透析室)の看護師(その他の病院スタッフ)お願いします」
↓
このとき、医師宛てではないので気づかずに通常対応で繋いでしまうときがある。
↓
そうする今度は繋いでもらった病棟などの電話先で
怪しい業者「医師の○○だけど、○○先生に繋いでもらえる?」などとつないだ先で別の要件を言ってきます。
外線から直接、医師宛だったら警戒するのですが内線経由での電話だったら警戒心が薄いので繋いじゃう事例も発生します。
事例③の対応策
事例③の注意点ポイントとしては、直接、医師あてではなく別の部署へつないでもらう。
その後、繋いでもらった先で別の用件を伝える。
という高等技術です。
これは、医療事務職員だけでなく病棟スタッフの協力も必要です。
上記の事例①と②でも対応できず、病棟へ繋いだほうがよさそうな場合は、
一言つなぐときに「業者かも」「怪しい電話かも」ということ伝えてあげると向こうも警戒しつつ対応ができると思います。
怪しい業者のほとんどは非通知設定
怪しい業者から電話はほとんどの場合、非通知設定でかかってきます。
非通知なら確実に警戒しましょう。
ただ、一般家庭の固定電話でも非通知設定を設定しているところも多くあるので、そのときの対応で見極めたいところです。
やたらと電話番号を聞き出そうとする
怪しい業者は医師や偉い役職の人の電話番号を知りたがっています。
なので、病院あての電話でも電話番号を聞きだそうとあの手この手を使って聞き出そうとします。
しかし、個人の電話番号を教えてほしいといってくる事ほど怪しいものはありません。
(実際はもっとうまく聞き出そうとするが)
病院側から、個人の電話番号を教えることはどんな場合でも絶対にしない!!
ということを頭に入れておきましょう。
鉄板技術
怪しいか微妙なときは、「確認を取って折り返しさせます。そちらの連絡先を教えてください」と伝えましょう。怪しいとこなら電話を切られます。
怪しい業者を判断するポイント
明確なことではありませんが、怪しい業者に共通するポイントがあります。
それは“電話の向こうが騒がしい”ということです。
電話で話している後ろで、人の話し声がガヤガヤと聞こえてきます。
イメージとしては騒がしい飲食店のような感じです。
これは9割以上の確率で共通しています。
コールセンターのように片っ端から電話をかけているのかもしれません。
【実例】私の失敗談
私自身、新人の頃に怪しい電話を医師に繋いでしまい怒られてしまったという失敗をしたことがあります。
事例①でもあったように、「○○だけど、○○先生につないで」ととても高圧的な感じ怪しい業者が言ってきたんですね。
怪しかったけど、それ以上に新人の頃は電話の向こうの相手がすごく怖かったんですよね。
だから、相手をこれ以上怒らせてはいけないって正常な判断ができないままつないでしまいました。
結果、セールスの電話だったようで後でその医師からお叱りをうけました…
今ではよい経験だったと開き直っていますが。
まとめ:鉄板は折り返しと伝えて周りに確認
怪しいと思った電話に対して、
重要なこと
-
高圧的な態度で来られても焦らない
-
しつこいぐらい詳しく内容を聞く
-
電話の向こうが騒がしくないかチェック
- 判断に迷ったら「折り返しさせます」と伝える
慣れないうちは焦ったり、怖かったりして正常な判断ができないかもしれませんが落ち着いて対応すればなにも心配ありません。
なにより、わからなければ「担当から折り返し連絡させますので、そちらの連絡先を教えてください」で一度、電話を切ることができるので安心です。
※本当に急ぎの電話は医療機関名を名乗ってくるのでさすがにわかります。
医療事務はいろいろな電話対応をしなければならないので大変かと思います。(苦情を含め)
焦らず、時間をかけてもいいので正確な判断をしていきたいですよね。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。