今回の診療報酬改定で、地味に大幅に項目が変更された(J038人工腎臓)透析ですが、実際にどのように変更なされたのでしょうか。
変更内容のほとんどが、施設基準に関するものばかりでしたね。
備忘録的な感じにはなりますが、内容をまとめてみました。
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目次
変更点
区分が変更
慢性維持透析を行った場合の施設の規模や効率性により、「1」から「3」に区分されました。
いままでは、時間に応じて算定していけばよかったものに対して、施設基準や実績などの条件などが定められて、より複雑化されました。
また、「1」および「2」については届け出が必要とされました。
慢性維持透析濾過(複雑なのもの)の廃止
慢性維持透析濾過(複雑なのもの)の点数が廃止されました。
変わりに、慢性維持透析濾過加算が新設され、届け出が必要とされました。
透析液水質確保加算の届け出
透析液水質確保加算1の評価がなくなり、「慢性維持透析を行った場合1」及び「2」の施設基準②と③と定められました。
慢性維持透析を行った場合1 | 慢性維持透析を行った場合2 |
①次のいずれかを満たす。 | ①次のいずれも満たす。 |
ア 透析用監視装置の台数が26台未満 | ア 透析用監視装置の台数が26台以上 |
イ 透析用監視装置1台あたりの透析実施患者の 割合が3.5未満 |
イ 透析用監視装置1台当たりの透析実施患者数の 割合が3.5以上4.0未満 |
② 関連学会から示されている基準基づき、水質管理が適切に実施されている。 | |
③ 透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は臨床工学技士が1名以上配置されている。 |
透析液水質確保加算
透析液水質確保加算2の施設基準が変更され、名称は透析液水質確保加算とされました。
その他
・導入期加算が「1」と「2」の2つに分類された。
また、届け出も必要となりました。
・「長期加算」が新設されました。
施設基準の届け出が間に合わない場合
2019年3月31日までの間に
「関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていること」及び
「透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師または専任の臨床工学技士が一名以上配置されていること」
を満たしていない状態で、「1」または「2」の届出を行った場合、2019年4月1日以降に引き続き算定する場合、当該基準を満たした上で改めて届出が必要になります。
届け出がない場合は「慢性維持透析を行った場合3」になりますので注意が必要です。
実績がない場合のレセプト記載
2018年3月31日時点で、人工腎臓の算定実績がない医療機関は『平成30年3月31日において改定前の人工腎臓の算定実績を有しない旨』を記載する事。
とされました。
透析用監視装置の台数及び実施患者の求め方
届出前12ヶ月の実績がない場合は、届出前3ヶ月の実績を用いることとし、以下の①②は直近3月の合計を3で除した値とします。
①届出人における直近12ヶ月の、各月はじめの人工腎臓を行う日の、透析用監視装置の台数の合計を12で除した値とする。なお各月初めの人工腎臓を行う日に、透析室に配置されており、患者に対して使用できる状態である透析用監視装置の台数を数えることとする。
②届出時における直近12か月の、各月の患者(外来患者に限る)の合計を12で除した値とする。なお、外来で人工腎臓を実施した回数が、該当月において5回以下の患者は当該月の患者数の合計に数えないこととする。
導入期加算の施設基準
導入期加算も区分が変更されたので施設基準をまとめてみると
・導入期加算1
関連学会の作成した資料等に基づき、腎代替療法について、患者に十分な説明を行っている。
・導入期加算2
以下のすべてを満たしている必要がある
①導入期加算1の施設基準を満たしている
②C102在宅自己腹膜灌流指導管理料を過去1年間で12回以上算定している。
③腎移植について患者の相談に適切に応じており、かつ、腎移植に向けた手続きをおこなった患者が過去2年で1人以上いる。
長時間加算の算定
今回、新設された長時間加算はどのようなときに算定できるのかというと
通常の人工腎臓では、管理が困難な兆候を有する以下の患者に対して6時間以上実施した場合に算定できるものです。
① 心不全兆候を認める、または血行動態の不安定な患者
② 適切な除水、適切な降圧薬管理、適切な塩分摂取管理を行っても高血圧状態が持続する患者
③ 高リン血症が持続する患者
まとめ
今回の改定内容は、ほとんどが施設基準に対するものでした。
いままで、入力作業だけ行っていた医事課職員の場合は改定の説明会など、最初のほうは頭に入ってこなかったのではないでしょうか。
とりあえず、こんな感じで変更されたとだけ覚えておけば、いままで通り、医事コンに入力してくだけなので問題ないと思います。
やはり、今回の透析の改定は近年、透析患者も増えているため厚生労働省も対策を行って来ているといことでしょう。