労災として治療を行っていたのに、ある日突然、労働基準監督署から労災の打ち切り、中止、症状固定として取り扱う旨の連絡が来るということがあります(ほとんど一方的な感じで)。
その時に、労災患者本人が症状固定に納得していれば問題ありません。ただ、このサイトを運営していて、多く寄せられる問合せで『勝手に労災を打ち切られた。なにかいい対応策はないか?』といった内容のものが多く寄せられるようになりました(医療従事者ではなく患者さんの立場の方から)。
このことから、多くの方が症状固定に納得をされておらず、いろいろな訴えを持っているようです。
例えば・・・
・まだ治療やリハビリを続けたかった。
・労働基準監督署や医師から症状固定の説明をちゃんと受けていない。
・今後、どうしていいかわからない。
・症状固定後の治療費は自費になるのか。
などといった内容です。
今回はそういった方のためにも、具体的にどうすれば労災を継続できるのか。また、症状固定はどうなるのかについて書いて行きます。
※あくまで、医療機関の立場(事務員)としてのアドバイスになりますので、そこだけはご理解いただければと思います。
本来の症状固定の流れ
本来の症状固定の流れとして望ましいのは
①労働基準監督署からの労災患者、もしくは病院へ症状固定するかの確認の連絡がくる
②労災患者・病院の双方が納得したうえで症状固定
③後遺障害の書類の作成
④症状固定、後遺障害の認定
といった形が望ましいです。
そうすれば、今回の題のように労災患者が納得をしないまま症状固定になることはないと思います。
あと、この記事の後からも出てきますが、症状固定を決めるのは主治医の先生になります。ここだけは確実に覚えておいてください。
もし、説明も無く勝手に症状固定とされた場合は疑問を持つべきだと考えます。通常は、主治医が診察時に労災患者へしっかりとした説明を行ったうえで、中止するのが望ましいためです。
※症状固定まで流れを詳しく書いた記事
10号様式が未提出なら症状固定ではない
労働基準監督署から労災の症状固定の連絡が来たとしても、後遺障害認定書(労災の10号様式)の提出がまだであれば労災を継続できる可能性はあります。未提出であれば、正式にはまだ労災の打ち切りにはなっていません。
後遺障害診断書(10号様式)を提出して完全に症状固定と認められます。10号用紙を提出し、それから後遺障害の認定にうつっていくからです。
診療代を自費で支払っている場合
労災を症状固定にされても治療はまだ継続している。通院している。
という方も多いかと思います。そういった方の中で、自費で通院されている方もいるようです。
結論から言って、労災が症状固定した後であれば、本人の健康保険証を使用しての治療は可能と考えられます。
確かに、仕事中のケガは保険証は使えませんが、それは労災を使う場合の話です。症状固定をして保険証を使用する分には問題ない はずです。
ただし、ここは微妙なラインなので保険者(保険証を発行してるとこ)に事情を説明して、保険証を使用できるか確認する必要はあります。
※症状固定後の保険証使用について書いてる記事
勝手に症状固定にされてしまう理由
恐らくですが、労働基準監督署から病院に『この労災患者は症状固定で。治療中止で。』などと連絡が行っていたのかもしれません。
こういった連絡があり、病院側も労災として治療費を請求できなくなるのであれば、症状固定だと判断してしまうわけです。
(労災の治療費は、労働基準監督署が審査して病院に支払うため、病院側としても治療費が入ってこなければ大変なんです。)
※ここで使う症状固定は治療費に関したもの(病院から労災へ請求する書類、いわゆるレセプトというやつです)のみであり、状態のことではありません。
だから、病院側もレセプト上(治療費の請求上)、症状固定として対応する部分もあるのかと推測されます。
労災が復活する可能性
上記の症状固定は、治療費に関してのことなので、患者本人が異議を唱えれば労災として復活する可能性はあり得ます。
(労災が復活すれば、いままで自費で払っていた分も労災になるので払い戻しが発生する)
結局、病院側がいままでの治療費を
本人支払い → 労災へ
月遅れで労災へは請求はできるんです。
ただ、この作業がメチャクチャ面倒くさいので、医療機関としてはこれを避けたいから、できるだけ労災へはしたくないと考えてしまう部分があります。(すべての医療機関がそういうわけではありません。)
最終決定権は主治医になる
復活する可能性があるとは書きましたが、これはあくまで主治医の先生が決めることであり、主治医が”まだ継続することで改善の余地がある”と判断すれは継続できるし、ないと判断すれは、そこで症状固定です。
ないと判断されれば、労働基準監督署の連絡通りの結果になってしまいます。
本当に症状固定している場合
勝手に症状固定されたとは言え、労働基準監督署もちゃんとした理由があり、症状固定として取り扱いをするわけです。
考えられる、理由としてあげられるのは、病院側も本当に症状固定と認めたからだと思います。
人工骨(チタン)等がはいっている方などは、今以上の改善は認められる可能性がないかもしれないからです。いわゆる、病状が一進一退になる。つまり、これが労災でいうところの症状固定です。
後遺障害認定のお金でなんとかする
ここで、症状固定をしてしまえば、労災の治療費はでなくなるけど、まとまったお金が入ってきます(結構な金額)。
それを持って今後は治療費に充当したり、気持ち的なフォローも含めていますというものです。
ここら辺は個人の感じ方次第でしょうが
ちょっとでも長く治療やリハビリを行う OR スパっと治療を中止してまとまったお金をすぐにもらう。
といった選択肢がでてきますので、自分のタイプにあった方を選ぶのがよいでしょう。
まとめると
・労災で継続できる可能性はある
・症状固定だったとしても、保険証は使える可能性はある
・医療機関になぜ症状固定になったか説明を求める(話を聞いてみる)
といったところです。
※医療機関も職員も人間ですので、高圧的な態度(クレーマー的な感じ)はよくありませんので、できるだけ、穏やかに説明を求めたほうがあとあと自分のためにもなると思います。
最後に重要なことをひとつだけ・・・
症状固定に納得がいかないのであれば、主治医に相談して説明を求めるべきです。
やはり、説明もなく納得しないまま症状固定してしまうのはおかしいです。
また、治療費(レセプト)に関しては事務員さんに担当がいるはずなので、そちらに話を聞くのもアリだと思います。
さらに、できるのであれば労働基準監督署にも症状固定の理由の説明を求めるべきです 。
以上、医療機関から見たときの症状固定の対応と理由でした。
事故にあって心配な方へ
事故にあってしまい、ただでさえ心配なのに保険会社の担当と連絡がとれなかったり、対応が悪い、説明がない・・・
なんてことになったら心配は増えてしまいますよね。
しかも、体が痛い、事故後から体調が良くない、数日経ってからむち打ちの症状がでた・・・
となれば、気持ちと体のダブルの面で参ってしまいます。
そうなったときに、誰に相談したらいいかというと
- 警察もそこまで親身になって話を聞いてくれない。
- そもそも保険会社は対応が悪い
- 加害者へ直接は言いにくい
と、八方ふさがりの状況になっていることもあると思います。
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