
と悩んでいる医療事務員さん向けの内容です。
整形外科などの診療科がある病院では、装具を作る機会が結構な頻度で出てくるかと思います。
例えば、「胸椎椎体骨折」「腰椎椎体骨折」「変形性膝関節症」などの整形的な疾患に対して、胸椎装具、腰椎装具、膝装具を作ったりします。
また、内科などの診療科がある医療機関では「アテローム血栓性脳梗塞」「脳幹梗塞」「左被殻出血」などに対して短下肢装具を作ったりすると思います。
最初のこの記事の内容をお伝えすると
- 装具の費用はいったんは自費で支払ってもらう
- その後、患者本人が保険者(保険証を発行しているところ)へ差額の払い戻し手続きをする
といった感じです。
装具を作る場合、ほとんどの場合は医療機関に出入りしている装具義肢さんがいると思いますので、そちらと連携して作成していく流れになります(別に指定した装具義肢さんでなくても問題はない)。
また、費用だけではなく医証の記載方法などについてもまとめていますので参考になるかと思います。
※動画のほうがいい~という方はコチラも参考にされてください♪
基本的な考え:医療機関の治療費と装具の費用は請求は別々で行います
最初に説明しておくことがあります。
それは、装具は保険適用ですが支払方法としては医療機関の治療費とは別になります。
医療費のように保険適応された金額(例えば3割分だけとか)だけを支払うといったシステムではありません。
装具費用独自のものとなっています。
この記事では、医療機関に決まった業者さんが出入りしているケースで説明していきます。

まず装具作成の流れ
まずは
- 装具を作るまで
- 作ったあと
の費用の請求方法までの流れを簡単に書いていきます。
一番最初は採寸OR採型
医師が装具の必要性を認めた場合、採寸もしくは採型を行います。
通常、この採寸や採型は装具義肢さんが行います。

このとき、採寸や採型を実施しているのは義肢さんで、医療機関側は実施したか把握しづらい為、算定漏れの注意が必要です。
必ず、算定できるように義肢さんと連携がとれるシステムを作っておくことが大事です。
装具の完成と医証の発行
採型を行った後は、義肢さんが装具を作成します。
そして、出来上がりを患者へ渡し、主治医に装着の確認をしてもらう。
という流れになります。
このときに、医療機関は装具を装着しましたよ!!という証明である“医証”を作成し発行します。
この医証を保険者へ提出することで、患者さんは装具の費用の払い戻しを受けれるので大事な書類になります。
装着の確認ができた段階で、医証をお渡しできるのが理想的ではありますが、医証の作成のタイミングや、支払の関係もあるので、装着当日に医証をお渡しするのは難しいかもしれません。
医証を渡すタイミング
医証を渡すタイミングは、上記で書いたタイミングでよいかとは思いますが、できれば、後述する支払いのタイミングで渡すのが妥当でしょう。
でないと、装具の未収が発生するリスクが高まるからです。
極論ですが、悪い事を考えれば医証だけもらっておいて、装具の費用を支払わないなんてこともあり得るからです。
ただ、これは通常の医療費と同じで全く支払わない人もいるので、結局はその人の金銭管理次第という部分にはなってきます。
費用の請求
装具の費用は、一旦は全額を患者さんが支払います。
装具を作ると決まった段階で、この説明を患者さんもしくは家族に行う事は必須です。
トラブルや未収の原因になります。
その後、患者さんが各自で払い戻しの手続きを行うという流れになります。
装具の費用は医療機関へ支払うのか?装具義肢へ支払うのか?
装具の費用の10割は、誰に支払うのかというと装具義肢さんへ支払います。
当然といえば当然ですが・・・
ただ、私の病院ではこの装具代金の10割を病院で支払ってもらっています。
義肢さんが月に4回程度しか来ないので、病院にいない日のほうが多いです。
なので、いつでも患者さんが支払えるように、預かり金というかたちで病院で一時的に徴収しています。
もちろん、直接、義肢さんへ支払っても全く問題ありません。
装具代金の払い戻し手続き
装具の引き渡し、10割で支払いが終わったら病院で行うことは終わりになります。
後は、患者さん各自で払い戻しの手続きを行っていきます。
国保、後期の場合
国保、後期の場合は払い戻しの手続きは市町村役場で行います。
領収書と医証を持って行き、手続きを行っていきます。
例:100,000円の装具の場合
- 国保 → 7割である70,000円が患者にもどってきます。
- 後期 → 9割である90,000円が患者にもどってきます。
(患者さんによって負担は異なりますが、だいたいの方はこの割合)
協会けんぽの場合
協会けんぽの場合は、最寄の協会けんぽで手続きを行います。
協会けんぽは郵送での手続きも行っているようです。直接行くのが大変という方には、そう案内してあげるのも親切かもしれません。
例:100,000円の装具の場合
・協会 → 7割である70,000円がもどってきます。
(患者さんによって負担は異なりますが、だいたいの方はこの割合)
保険請求するときの注意点
医証と領収書の日付は同じ日付が良い
医証と領収書の時系列としては
医証の「装着証明書」の日付の後に、領収書の日付があるというのが正しい記載になります。
ただ、実務では先に医証や領収書を作成していることが多いです。
その場合、日付が時系列と逆になったりして矛盾が生じてしまうことがたまにあります。
(人的なミスになりますが・・・)
そういったことを防ぐために、医証の装着証明日と領収書の日付は同じにしたほうが管理しやすいでしょう。
重度身障医療費助成受給者証、こども医療(乳幼児医療助成金受給資格証)
これらを持っていれば、一部負担金の分も払い戻しを受けられます。
装具を作成する前には、事前に説明をしてあげておいた方が親切でしょう。
装具の義肢さんはどこでもOK
今回は、病院が仲介して費用のやりとりする事をメインで話を勧めましたが、当然ですが、費用のやり取りは基本的に装具業者さんと患者さんの間だけ行われても全然OKです。
むしろ、それが正しい流れだとは思います。
ただ、装具業者さんと病院の関係もあると思いますので、そこらへんは病院独自のやり方で問題ないと思います。
まとめ:事前の説明はだいぶ重要
装具の費用は、保険証を使った請求方法と異なり、手続きが面倒です。
しかも、最初に支払う金額は高額です。
患者さんも払えないという状況もでてくると予想されますので、事前の説明はだいぶ重要になってきます。
ただ、出入りしている装具業者さんがある場合は、義肢さんの方から説明をしていることが多いので、医療機関ごとに対応方法を変えていけばいいと思います。
装具の作成と費用の請求はルーティンになりますので、一度経験してしまえばすぐに覚えられます。
大事なのは、医療機関は医証の作成をしっかりと行うということでしょう。