湿布薬は医療機関のの中でも、もっとも処方されるお薬の一つです。
特に高齢の患者に対し患者が希望すれば湿布を大量に処方している、という医療機関も多いのではないでしょうか。
いままでは希望した枚数をそのまま処方していても、よっぽど過剰でない限りは査定されませんでした。
しかし、2016年の診療報酬改定により湿布の処方上限枚数が定められてしまいましたね。
このことにより、ちゃんと医療機関で処方枚数を把握しておかないと査定されてしまう、といったケースが多発している病院やクリニックも多いかと思います。
本記事では、湿布の上限査定枚数、1回の処方での算定枚数について書いていきます。

1処方につき70枚の処方制限
早見表の手引きにもしっかり明記されています。
投薬 通則5
入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投与した場合は、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、区分番号F200に掲げる薬剤、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。
このようなことから、1日で処方できる制限枚数は70枚となっています。
1処方とは1日あたりの総枚数と考えてよさそうです。
この一日あたりの上限のチェックであれば、点数計算の時点で気づくことも可能でしょうし、電カルを使用している医療機関であれば医師がオーダーする段階で警告をだすこともできるでしょう。
月に140枚が枚数限度
上記のように「1回の処方で70枚まで」という考えであれば、

と考えられますが、月に140枚以上の処方は査定されてしまう傾向になります。
というか、ほとんどが減額査定されている、と考えてもいいぐらいです。
医学的に見て、月に通算で140枚までが妥当な枚数というのが、審査機関の統一見解のようです。
つまり、1回の処方上限は70枚だけど、月で通算したときの合計は140枚が最大ですよ。ということです。
1処方の上限までしか表記されていませんが、月単位で考えたときには、明確な枚数は記載がありませんので注意が必要です。
部位が違えば140枚以上もOK??
月の上限は140枚までとなっていますが、複数部位に対して湿布を処方していた場合は、140枚以上算定できる場合もあるようです。
1病名につき最大70枚まで(腰の病名(範囲が広くても)でも最大70枚です)という考えからです。
また、1日1枚貼りの区別はなく上記同様の取り扱いで、1処方でカウントします。
このように上限を超えて算定する場合は、必要性のコメントをつけなければいけません。
私は、過去に違う部位への処方だったため、1処方で70枚を超えて算定していたことがありました。
その際は処方箋に、2箇所の部位に対して処方している表記(用法)していたので、コメント関係はつけずに請求を行っていました。
- 『腰椎椎間板症』の病名に対し腰に70枚
- 『肩関節周囲炎』の病名に対し肩に70枚
といった感じで同日に処方していましたが・・・
当然のように査定さてしまいました。やはりコメントは必須のようでした。
以後、私の病院では1処方で70枚以上の処方は行わないようにしています。
ちゃんとコメント付ければ審査を通るかもしれませんが、そこまでして湿布を出さなくもいいのでは?といった見解からです。
患者への対応:湿布がダメなら外用薬で代用
湿布に対しては審査が結構、厳しめになっている気がします。
なので、私の病院では基本的には月に140枚までを算定の上限としてします。
(複数の部位の病名があったとしてもです。)
それでも患者さんによっては
「もっと湿布が欲しい!!」
とわがままを言ってくるケースも少なくありません。
そういった患者さんに対しては、湿布の代わりの外用薬(塗り薬等)を処方してあげることで納得されます。
しぶしぶの了解にはなるようです。
医師も湿布の上限枚数に関しては周知しているので、そこらへんも含めて処方をしてくれています。
ここら辺は医師との共通の認識が必要だとは思いますが。
院外薬局でもチェックしてもらう
基本的には、医療機関側でチェックを行うべきですが、これがなかなか難しいです。
というのも、レセプトチェックソフトをかけるにも処方の名称が少し違うだけで、処方を別物として判別するため、通算してのチェックができないことがあります。
例えば、同月内に・・・
- ゼポラステープ40mg 10cm×14cm を140枚
- ゼポラステープ20mg 7cm×10cm を70枚
月に合計210枚処方していたとしても、こういった場合は、処方して上限を超えていたとしてもレセプトチェックソフトにあげることは難しいです。
なので、医療機関でチェックできる範囲は結構狭く、チェック漏れが起こることが考えられます。
どうすれば一番効率よくチェックができるかと考えたときに、できるのならば、門前薬局と連携をとることが手っ取り早いかなと思います。
実際に、私の病院も門前薬局にお願いして、月の上限を超えた場合は連絡をもらい、処方箋の差し替えまで行っています。
患者さんに処方を渡す前に連絡をもらうことができれば、上限を越えて湿布を渡すこともなくなります。
ただし、この方法はあくまで門前薬局の善意になりますので、頼りにしすぎるのはよくないかもしれません。
また、門前薬局以外に処方せんを持っていくことも十分に考えられますので、そのときには院外薬局でチェックしてもらうというのは難しくなります。
まとめ
一番は医療機関側でチェックすることが大事です。
また、医師にも湿布上限を把握してもらうことで、処方オーダー時に上限越えを防げる確率も高くなります。
可能であれば、電カル、レセチェックソフトなどでもうまい具合に設定できればいいのですが、私の病院ではうまくいっていません。
今後、レセプトチェックソフトも薬剤名ではなく、『湿布』というくくりでチェックできるように改善していってもらいたいものです。
追記:最近の医事コンや電子カルテのオーダリングシステムの発展で上限を設定できるところもあるようですね。
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