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病名の記載もれによる減点(査定)はなぜ復活しないのか詳しく理由を説明します

通常、レセプトの病名もれは査定の対象であり再審査をしても通る可能性の低い査定理由です。

病名もれって言ってしまえば ”後出しじゃんけん” 的な感じで、査定されたから後付け的な感じで審査側にとらえられてしまいダメなものだと思いますよね。

あながち間違った考えではないとは思うのですが、査定される理由はそれ以外にもちゃんとした理由があるようです。

本記事では、医療機関(医療事務員向け)にその理由について書いて行きます。

病名もれレセプトの審査上の取り扱い

病名のレセプト審査上の取り扱いの種類は

  1. 原審査
  2. 保険者の再審査請求
  3. 病名もれによる減点に対する医療機関側の再審査請求

などがあり、それぞれ若干の違いがあります。

①原審査

原審査(一次審査)においては、減点か返戻かの取り扱いについては、基金や連合の担当審査委員会に任されています。

一番最初にレセプトの審査をするところですね。

基金に関しては、大量返戻裁判の敗訴(2004年10月25日埼玉簡易裁判所)を受けて、原審査及び再審査における返戻の基本的取り扱いを3点にまとめました。

①医学的常識に照らして、薬剤の使用又は手術料もしくは検査料の算定に対する、適応主傷病名等の記載漏れ以外に考えられないもの等医療機関に返戻照会することなく審査ができない事例

②医学的常識に照らして、一概に査定することが困難な事例で診療内容からみて医療機関に症状詳記を求めることが思われる事例

③包括点数を算定している事案で、査定することによって、出来高部分の算定が発生する事例

上記のことにより、返戻される前に照会を行うことがスタンダードになってきているようです。

いきなり大量返戻はなくなったが、一方で病名もれ減点の再審査請求に関しては、頑固として返戻することなく、「原審査どおり」とすることとしている部分もあるようです。

もっとも、病名欄がまったくの空白の場合はオンライン請求のASPチェックの時点ではじかれてしまい、機械的に返戻されてしまいますので、電子レセプト請求を行っている病院で、空白病名で請求するということは、まず無いのではないでしょうか。

②保険者の再審査請求

基金や連合で審査した後に、保険者でも審査をするわけですが…

そこで病名の不備があった場合は保険者から基金や連合に『再審査』というかたちで、もう一度、審査をし直してもらいます。

医療機関が再審査で基金や連合に再審査を出す場合の”保険者バージョン”です。

明らかに病名漏れと思われるレセプトは返戻されることなく、原則として減点されます。

”原審査で病名漏れを見逃した支払基金や国保連合に原因があるのだから返戻されることなく基金や連合の責任で減点せよ。”

という保険者からの強い要求に応じた結果といえるようですが・・・

アドバーグ
ここは、責任の擦り付け合い?で減点されてしまっては医療機関もたまったものではありません。という個人的な感想

③病名もれによる減点に対する医療機関の再審査請求

原審査の減点であれ、保険者の再審査請求に基づく減点であれ、再審査請求は受け取りをするものの原則として『原審どおり』として却下されます。

これはどこの医療機関が行っても同じ結果になるはずです。

しかし、これはあまりにも一方的な取扱いです。

なぜなら、医療機関が行う医療行為は、病名の確定、もしくは疑い病名に基づいて行われていますよね。

これは大原則であり、したがって明らかに病名漏れと思われる場合は、単純な事務的ミスとみなし、少なくとも返戻する前に照会を行うべきです。

診療の必要性があり、治療をおこなっているのに明らかに事務的ミスと分かり切っているにも関わらず、なんの連絡もなしに返戻するというのは医療機関に対して厳しすぎます。

これでは、医療機関側の診療の意義も半減してしまいます。

今後の対応

減点されたとしても、『〇〇の病名が漏れていた。』等の旨の再審査請求がを行い、その主張に合理性があれば、返戻して正しい記載を求めるべきです。

診療報酬の請求権は、医療機関の診療の都度発生するものであり、減点行為によって診療報酬請求権自体に影響を及ぼすものではありません。

なので、医療機関が病名漏れによって減点されたレセプトの返還を求めたとすれば、これを拒否することはできないはずです。

医療機関は、返戻の申し出をする以前に、再審査請求の段階で返戻するべきで、その方が審査機関側としても事務処理の労力を要しないで済むはずです。

基金は2006年4月1日都道府県幹事長宛『審査返戻の基本的な考え方について』、という通知を出しています。

その中で病名を起因とする再審査の取扱いについて次のように指示しています。

保険医療機関から病名漏れ等に起因する再審査請求については、症状の経過等について保険医療機関から客観的な検査データ等に基づいた詳細な説明がなされ、病状等が確認できる場合にあっては、これを参考に再審査決定するものとして差し支えないこと。

こういった通知があったにもかかわらず、審査側も『病名なしは再審査できない』と認識していることもあるようです。

というか、現実的にはこっちの認識のほうが圧倒的に多いです。

まとめ

実務では病名がないという理由で査定された場合は、査定された理由が確実にわかっているため、再審査までおこなう医療機関は少ないかもしれません。

頑張って再審査をしても、何百点に行くか行かないかの少額であれば、そこまでの気力が発生しないのも現実です・・・

さすがに、金額があまりに大きい場合は、頑張って再請求まで行いますが。

それも、病名なしで再請求まで行うというのは、数としては少ないのではないのかなと思います、

ただ、こういった理由で、減点ではなく、返戻を行うべき。

という考えも存在することを知っておくのもいいかと思います。

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  • この記事を書いた人

アドバーグ

未経験で医療事務に就職 ⇒ 一般企業 ⇒ 医療事務へ。ブラック企業を経てホワイト企業へ転職成功しました。現在は勤続10年、現役の医療事務員やっています。 刺激的な情報を発信したいと思いブログ運営中です。 犬より猫派です。 保有資格 ■診療報酬請求事務能力試験 ■医療事務認定実務者(R)試験

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