いままで、会計業務やレセプト業務しか行ってきていなかった場合に、施設基準の人員配置の計算方法を求められてもさっぱりわからないのではないでしょうか。
小さな病院であれば事務長さんが、中規模以上の病院であれば課長クラスの役職者が実務をされていることが多いかと思います。
「実務をすることはないけれど、計算方法について知っておきたい!」
「いずれは自分も管理していきたい!」
という医療事務の方のために、本記事は施設基準に頻繁に出てくる人員配置、看護要員の計算方法についてまとめてみました。
▼前提条件としての人員配置の計算方法の注意事項を記載しておきます▼
- ※① 病棟に配置されている看護要員の数は、1勤務帯8時間で1日3勤務帯を標準として計算する。
- ※② 2交代勤務であっても、届出の基準となる「1日看護配置数」は1勤務帯8時間で1日3勤務帯で換算した人数が標準となる。
- ※③ 看護職員=看護師と准看護師
- ※④ 看護要員=看護補助者(いわゆる看護助手、ケアスタッフさんとかのこと)
例1 一般病棟の場合
病床数60床で一般病棟10対1の場合の月平均1日あたりの看護配置数は
60床÷10×3=18人≠18人以上・・・A(10対1の必要最小人数)
参考
計算式の中の、10は一般病棟10:1の10
3は3勤務帯のことです。※①で記述しています。
勤務日数を20日で試算すると、常勤1人当たりの所定労働時間は
※勤務時間を8時間として計算
20日×8時間=160時間 ・・・B
※勤務日数はそれぞれの病院によって就業規則がことなるため変わってきます。
30日の月(9月とか6月)で1日あたり18人以上を満たすために必要な労働時間は
18人×8時間×30日=4,320時間・・・C
よってC/B=27人
※つまり、看護職員の常勤職員が計27名勤務していれば下記を満たします。
(月平均1日あたりの看護配置数は18人以上)
流れとしては単純計算で人数を算出する。
それから、その人数に合わせた勤務時間を計算していくという流れになってきます。
スタンダードな計算方法ですので基本中の基本という感じですね。
例2 地域包括ケアの場合(看護職員配置加算を算定する場合)
※一般病棟の一部病床を地域包括ケア入院医療管理料として入院料の代わりに管理料を算定する場合として計算しています。
病床数が60床で地域包括ケア13対1の場合の月平均1日あたりの看護職員配置数は
60床÷13×3=13.84人≠14人以上・・・A(13対1の必要最小人数)
勤務日数を20日で試算すると常勤1人あたりの所定労働時間は
20日×8時間=160時間・・・B
30日の月(9月とか6月)で1日あたり14人以上を満たすために必要な労働時間は
14人×8時間×30日=3,360時間・・・C
よってC/B=21人・・・D
ここまでは一般病棟と同じ計算方法でよいです。
さらにここから、看護職員配置加算である【50対1(看護職員)】の計算をしていかなければいけません。
計算方法は一般病棟などと同じ方法になります。
地域包括ケア50対1の場合の月平均1日あたりの看護職員配置数は
60床÷50×3=3.6人≠4人以上・・・A´(50対1の必要最小人数)
30日の月で試算すると常勤1人当たりの所定労働時間は
4人×8時間=160時間・・・B´
1日あたり4人以上を満たすために必要な労働時間は
4人×8時間×30日=960時間・・・C´
よってC´/B´=6人・・・D
最終的に必要な看護職員の常勤職員は、D+D´=27人
ということになります。
これは看護職員配置加算まで含めた人数になるため、最終的にそれぞれの人員配置で計算した人数を合算しています。
ちなみに月平均1日あたりの看護配置数は
A+A´=18人以上 ということになります。
例3 地域包括ケア(看護補助者)
地域包括ケア25対1の場合の月平均1日あたりの看護補助配置数は
60床÷25×3=7.2人≠8人以上・・・A(25対1の必要最少人数)
30日の月で試算すると常勤1人あたりの所定労働時間は
20日×8時間=160時間・・・B
1日あたり8人以上を満たすために必要な労働時間は
8人×8時間×30日=1,920時間・・・C
よってC/B=12人
つまり、看護補助者の常勤職員が計12名勤務していれば、月平均1日あたりの看護補助者配置数8人以上を満たすことになります。
まとめ
お気付きかとおもいますが、計算の流れはどれも同じになってきます。
一度でも、一通りやってしまえば単純な計算式になるので、簡単ではないかなと思います。
ただ、その計算式を覚えているのも大変だと思うので、この記事を参考にしてもらってもいいし、自分でエクセルデータで計算式をつくってみるのもいいかもしれませんね。
自分で計算をしてみないと覚えれないと思うので、自院の人員配置とかと照らし合わせて計算していけば、より身近な計算式になってくると思います。
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