と感じている医療事務員さんも多いかと思います。
この管理料ですが、一つ算定するだけでも混乱してくるのに、たまに複数の管理指導料と並行して行われるときがあります。
この2以上の管理料を行う時点で算定方法が混乱してくると思います。
本記事では、医療事務員向けに、
2以上の在宅療養指導管理を行った場合の算定、加算はそれぞれ算定できるのか?
という事をできるだけわかりやすいようにまとめてみました。
2以上の在宅療養指導管理の加算はそれぞれ算定できる
外来の入力業務を行っている中で、在宅指導管理を”二つ以上”行っている患者さんがいたりします。
例えば、自己注射管理料と在宅持続陽圧呼吸療法管理料などを、合わせて行なっていたりする場合です。
実際に、両方とも管理しているのに、基本的に算定できるのは、『主たるどちらか一つ』とされていますが、それでは医療機関としては損ですよね。
どのように算定するのが正しいのか、早見表に照らし合わせ、解釈を書いていきたいと思います。
在宅医療の部第2款「通則」に係る保医発通知
(2)同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。この場合にあって、在宅療養指導管理材料加算及び当該2以上の管理に使用した薬剤、特定保険医療材料の費用はそれぞれ算定できる。
医学通信社 2018年版 早見表 P362 より
とされています。
同一の患者さんに、2以上の指導管理を行った場合は、第2節第1款「通則2」により、指導管理料は主たる指導管理に関わる所定点数のみ算定するとされています。
しかし、通知の中に・・・
”在宅療養指導管理材料加算及び当該2以上の管理に使用した薬剤、特定保険医療材料の費用はそれぞれ算定できる。”
とあります。
なので、主として算定している管理料の加算だけでなく、算定していない管理料の、在宅療養指導管理材料加算、薬剤料、特定保険医療材料の費用も別で算定できる。
つまり…
算定していない指導管理料に含まれる、注射料や処置料等についても別に算定できると解釈されます。
※ここでの注射料や処置料、特定保険医療材料とは管理料に付随する加算の算定要件の事と考えています。
ポイント
大雑把に言うと、管理料の加算は ”材料”と考えても覚えやすくてよいかもしれません。
※実際には、加算にも算定要件があり、それに沿って算定しなければいけません。しかし、だいたいは材料あっての加算ですので、イメージをつかむ感じとして、こんな風に覚えてもいいかなと思います。
加算に包括される分は算定できませんが、包括されない分は算定できそうです。
さらにわかりやすく書いてある
※H30.9.11追記
上記だけでも、算定できるかと思っていたのですが、さらに明確に記載されている通知がありました。
第2款 在宅療養指導管材料理加算
(1)在宅療養指導管理材料加算は、要件を満たせば、第1款在宅療養指導管理料を算定するか否かにかかわらず、別に算定できる。
医学通信社 2018年版 早見表 P362 より
明確に、算定できると書いてありました。
早見表以外にも、『保険診療の手引き』いわゆる青本(2018年版 P466)にも、ちゃんと書いてあります(個人的には、青本のほうが見やすかったです)。
つまり、管理料の算定要件とか、加算の算定要件とか以前に、在宅療養指導管理材料加算の全般的事項として認めているということです!!
各、加算の算定要件に気を取られて、全体の決まり事を見落としていた・・・というわけですね。
ちなみに、在宅療養指導管理材料加算の一覧はこんな感じ(27種類)
C150 血糖自己測定器加算
C151 注入器加算
C152 間歇注入シリンジポンプ加算
C152-2 持続血糖測定器加算
C152-3 経腸投薬用ポンプ加算
C153 注入器用注射針加算
C154 紫外線殺菌器加算
C155 自動腹膜灌流装置加算
C156 透析液供給装置加算
C157 酸素ボンベ加算
C158 酸素濃縮装置加算
C159 液化酸素装置加算
C159-2 呼吸同調式デマンドバルブ加算
C160 在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算
C161 注入ポンプ加算
C162 在宅経管栄養法用栄養管セット加算
C163 特殊カテーテル加算
C164 人工呼吸器加算
C165 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算
C166 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算
C167 疼痛等管理用送信器加算
C168 携帯型精密輸液ポンプ加算
C168-2 携帯型精密ネブライザー加算
C169 気管切開患者用人工鼻加算
C170 排痰補助装置加算
C171 在宅酸素療法材料加算
C171-2 在宅持続陽圧呼吸療法材料加算
これらの加算は、管理料を算定している、していないに関わらず算定できるということですね。
例を挙げてみると
説明だけでは、分かりにくいと思うので、実際に例を挙げてみると
例:在宅自己注射管理 + 在宅持続陽圧呼吸酸素療法指導管理
※上記二つの管理を行っている場合
【管理料】
在宅自己注射管理料 (主たる管理料)
+
【加算】
血糖自己測定器加算(主たる管理料に付随する加算)
+
在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算(算定していない管理料の加算)
+
在宅持続陽圧呼吸療法材料加算(算定していない管理料の加算)
という感じになります。※通常、点数の高い管理料を主たる管理料として算定します。
これだけでも、大丈夫だとは思うのですが、一応、コメントもつけたほうが確実かもしれません。
例:主の管理料を在宅自己注射指導管理料を算定している場合
「在宅自己注射管理と併せて、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理も行っており、材料加算である在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算、在宅持続陽圧呼吸療法材料加算を算定しております。」
的な感じです。
ここら辺は、自院に合わせて作っていくのが良いかと思います。
併設老人保健施設と特別養護老人ホームにも当てはまる
ちなみに、この算定方法は、併設老人保健福祉施設や特別養護老人ホームに入所中の患者に、管理を行った場合にも有効です。
通常、これらの併設施設に入所している場合、管理料の算定は不可となっていますが、材料加算の方は算定できるとなっています。
取り扱いとしては、管理料は算定しないが、加算のみを算定するといった感じになります。
例えば、在宅自己注射管理料の場合だったら、『血糖自己測定器加算』のみを算定するということになります。
例として、補足的でコメントをつけるならこんな感じです
「併設老人福祉施設入所中のため、在宅自己注射指導管理料の材料加算である血糖自己測定器加算のみを算定しております。」
的な感じです。
これも、自院ごとに適当にコメント作っていけばいいのかなと思います。
まとめ
早見表 P362
保険診療の手引き(青本) P466 ←個人的にはこっちがオススメ
※2018年度版
不安に思われたら、一度、読んでみることをオススメします。
在宅管理を複数している患者は少ないですが、併設老健や併設特別養護老人ホームなんかに入っているような患者さんの場合は、意外と頻繁にあると思うので知っていて損はないと思います。
むしろ、今まで算定漏れしていたケースもあるかもしれませんね。これを機会に、見直しをされてみるのもいいかもしれません。
※関連ありそうな記事