医療事務として働こう!!と思った時に考えるのが資格の取得ですよね。
でも…
『医療事務の資格は種類が多すぎてわからない』
『結局どれがいいの?』
『就職に有利なものを優先に取得したい』
いろいろと資格選びに悩んでしまう部分もあると思います。
医療事務の資格は多数あります。中でも”医療事務技能審査試験”は割と有名な部類に入る方なので、調べている人も多く、実際に受験している人も数多いです。
どうせ時間とお金をかけて資格を取るなら、『価値がある資格を取得したい。』『実務で役に立つものがいい。』という気持ちもあるでしょう。一番は『就職に有利なもの』かもしれません。
今回は、そんな医療事務の資格取得を目指している方に向けて、医療事務技能審査試験の資格が本当に取得する価値があるのか?また、この試験の難易度は?基本的部分についてざっくり説明していきます。
医療事務技能審査試験は医療事務の資格の中でどれぐらいの難易度か
試験開始から約40年で、総受験者数159万人、合格者数は90万人を超える医療事務関連のスタンダードな試験です。
試験の主催者は”一般財団法人 日本医療教育財団”というところです。
診療報酬請求(レセプト業務)に関してはもちろんですが、病院やクリニックの窓口業務で求められる患者さんへの接遇技能など、現場のニーズに対応した試験内容になっています。
いってしまえば、医療事務の仕事をするうえでの登竜門的な資格だということです。
他にも医師事務作業補助技能認定試験や診療報酬請求事務能力認定試験などがありますが、その中でもレベル的には中間といったイメージです。
合格でもらえる称号は”メディカルクラーク”
試験に合格すれば、メディカルクラークとして名乗ることができます。なんだか専門的な感じの響きでちょっとかっこいいです。
一般的に医療事務技能審査試験のことをメディカルクラークと呼んだりするのは、ここらへんが由来のようです。
民間の資格です
医療事務技能審査試験に限ったことではありませんが、医療事務に関するすべては民間の資格になり、国家資格はありません。
ただ、その民間の資格の中でも、難易度が設定されており、難易度に応じて社会的、医療事務でいえば病院やクリニックの中での地位を認めてもらうためのツールの一つとなっています。
また、就職や転職時にも”資格を持っている”というアピール材料になるわけです。
試験内容の各難易度
医療事務技能審査試験は
- 実技Ⅰ 患者接遇(記述式) 2問 50分
- 学科 医療事務知識(択一式) 25問 60分
- 実技Ⅱ 診療報酬明細点検 4問 70分
の3つにわかれています。
それぞれの難易度はどれぐらいになるでしょうか?
実技Ⅰ 患者接遇(記述式)は個人の経験にもよるが結構難しいかも
患者接遇に関しては作文形式で行われます。そこで差が出てくるのが、社会人を経験しているかしていないかだと思います。
仮に、社会人経験者だという人であれば、そこまで勉強しなくても、言葉遣いに関してはスムーズかと思います。一般的な接遇に精通している部分もあります。
もちろん、保険診療の専門的なものを問われるので勉強もしないといけません。
逆に社会人を経験しておらず、接遇万ーなどを学んでいなければ一からのスタートになるので、少し難易度は上がるかもしれません。
どっちにしても、保険診療の知識は勉強はしないといけないので、意外とハードルは高いです。
学科 医療事務知識(択一式)は参考書である程度カバーできる
選択式なおかつ参考書も持ち込み可能なので、適当に選んで正解する可能性もあります。それでも、練習は必須です。
練習を何度か繰り返し、『この問題の答えは参考書のここらへんにあったはず…』とある程度の目処をたてていた方が素早く解答できると思います。
要は問題になれて、答えがある場所を把握する癖をつけるといった感じです。
実技Ⅱ 診療報酬明細点検は試験の中で一番ハードルが高い
どうしても、レセプトの間違いを探すとなるとそれなりの知識が必要になってきます。
なので、ひたすら問題を解いて慣れていく他ありません。
どうしても心配だという人は、診療報酬請求事務能力認定試験の問題集をやってもいいかもしれませんが、この試験ではそこまで高いレベルは要求されていません。
合格ラインはどれぐらい
学科と実技、それぞれ得点率70%以上となっています。
ここで注目したいのが、最悪、試験に不合格になった場合でも、科目免除制度というものがあります。
これは、3科目(学科、実技Ⅰ、実技Ⅱ)の中で70%以上に達した科目があった場合、6ヶ月間、再試験までの期間を有効とするものであり、一度受かった(70%以上だった)科目は試験をパスできるというものです。
気になる合格率は
公式発表はされていないようですが、50~60%ぐらいとなっています。
ただ、他の医療事務の資格と比較した時に、合格率は若干低めに感じます。というか、他の医療事務の資格の合格率が高すぎるのかも。(それだけ簡単ということ)
医療事務技能審査試験は、ほんとにスタンダードな試験となっているようですね。
難易度は初心者に優しい
ちょっとだけ誤解を招くかもしれない表現なので、正しく言うと”診療報酬請求事務能力認定試験”と比べたらという事です。
診療報酬請求事務能力認定試験は医療事務の資格の中でも一番難しいとされている試験です。
実際に医療事務の勉強をしてみたら分かると思いますが、未経験者が資格の勉強を始めてもチンプンカンプンな事が多いです…
そこから、勉強して試験の合格ラインまで知識をあげていくのは結構大変です。
その点、メディカルクラークは問題レベルは高いものの、自分で”手書きでレセプトを作成する”という作業がありませんので、その分が未経験者には優しいという事です。
自分でレセプトを手書きで完成させろと言われたら、正直、メチャクチャ難しいです。
なので、診療報酬請求事務能力認定試験は挫折する人が多いんですよね。
そう考えたら、メディカルクラークは自分で書き込む量も少なく、書かない分、試験範囲も狭まってくるので勉強も続けやすいです。意外と、こういった事がモチベーションの維持にもつながります。
就職や転職には有利か
残念ながら、”答えはNOです”。
就職や転職にはそこまで効力を発揮しないでしょう。
メディカルクラークは、あくまで医療事務の必要最低限の知識を取得するための資格です。
なので、医療事務で働くなら、これぐらいの知識は持っていて当たり前。ということです。
実際に、医療事務として新卒で入ってくる子のほとんどは専門学校からです。
みっちり勉強してきた子達にくらべれば、未経験でクラークの資格を持っていても採用する側としては、そこまでの判断材料にはなりえないという訳です。
実務では役に立つのか
就職や転職では有利にはならないとしましたが、実務では十分に活用できる知識だと思います。
そもそも、メディカルクラークの資格の意図が”現場で役に立つ”ですからね。
また、未経験での医療事務として働いている方はたくさんいます。
そういった方が、入職初期の段階で知識向上のために取得するというのであれば、十分良い資格と言えます。あくまで。初期の段階です。
勉強方法は独学でもOK
独学での十分に合格できる可能性のあるレベルの資格です。
ただ、公式のテキストや問題集はニチイからしかでていないようです…
それでも、中古で『メルカリ』や『ラクマ』などフリマアプリでも入手できるようなので、探してみるのもいいかもしれません。ただし、古すぎるものは使い物にならないので注意!
2年に一度、診療報酬改定という算定方法の変更が行われます。ある程度は対応できそうな年度の分にしましょう。
個人的な意見ですが、だいぶニチイにかたよった試験のようです。
本気でこの資格を目指すなら、ニチイの講座を受けたほうが手っ取り早いのかもしれません。
それでも、個人的には独学、もしくは別の資格で診療報酬請求事務能力認定試験の方をオススメしています。※下記参照
医療事務未経験者であればオススメの難易度、経験者は不要
医療事務の資格の中での難易度は、中級程度といったイメージです。
簡単すぎても身にならないし、逆に難し過ぎても挫折してしまうので、程よいレベルになっています。
接遇面の試験なども、これから働くうえで、必要な部分のスキルも試験対象になっているので、実務の面でも大いに役に立つでしょう。
なので、これから医療事務を目指してみる!という人にとって、最初の一歩としては適した資格となっています。
逆に、経験者の場合は現場で覚えられる内容がほとんどなので、無理に取得する必要はないと思います。
この資格を取得すれば資格手当がつく!というなら話は別です。まあ、今はそんなところ少ないでしょうしね。
まとめ:できれば診療報酬請求事務能力認定試験の方を取得したほうが実用的
繰り返しになりますが、メディカルクラークは初心者にとっては良い試験内容となっています。医療事務の仕事を知る教科書のようになっています。
ただし、あくまで入門編みたいなものです。
なので、『本気で医療事務を目指している』『手堅く就職して安定したい』という本気思考のひとは、診療報酬請求事務能力認定試験の方を取得したほうがいいです。
難易度は上級…と言うか医療事務で最難関とされている資格です。
難しいですが、一度合格してしまえば、身につく知識も膨大ですし、なにより就職するときに有利に働く数少ない医療事務の資格です。
一度、そちらを検討しているのもいいかもしれませんよ。
ちなみに、診療報酬請求事務能力認定試験の参考書は問題集は普通に書店で売っているので、簡単に揃えられます。それに伴い、独学でも十分に合格できる資格となっています。