最初に結論をお伝えしておくと医療事務で働くうえで簿記の知識や資格は必要ありません。
もちろん、社会人として知識を深めたい、スキルアップをしたいということであれば簿記の勉強や資格取得をするのはよいでしょう。
ただ、“医療事務で働く”という事にクローズアップするのであれば簿記は必要ないということです。
また、「医療事務の資格と簿記の資格のどっちをとるか迷っている」
と考えているのであれば、
優先順位として
- これから就職を考えている→簿記の資格→簿記で満足しなければ医療事務の資格
- 現職で医療事務→医療事務の資格→余裕があれば簿記も勉強
本記事は、なぜ医療事務に簿記は必要ないか?という事を現役の医療事務で働いている立場から、この理由についてまとめてあります。
目次
医療事務の主な仕事は受付、会計、レセプトだから簿記の知識を使う機会がない
そもそも簿記とは
簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。
これに対し、医療事務の主な仕事は診療報酬、保険請求に関わる
- 受付
- 会計
- レセプト業務
これらの業務に簿記は必要とされません。
中には簿記も必要なのでは?と思う業務の中に、1日の入金のレジ〆作業等があります。しかし、この中で多少は簿記に精通していたほうが有利かなと思うような場面もありますが必須ではありません。
その日の入金額と、実際にある現金やクレジットカード支払い分を見比べて金額が一致しているか確認をするのがレジ〆作業です。簡単に言えば間違い探しみたいなものなので簿記の知識は絶対に必要ではないということです。
※簿記の知識があることに越したことはありませんが、無くても余裕で業務はこなせますよということです。
また、医療事務の主な仕事のレセプト業務に関しても診療報酬を請求するということがメインなので簿記の知識を使う機会は全くありません。
関連
最近では、業務も電子カルテや医事コンなどの専用のソフトを使っていますので、どちらかというとパソコンスキルの方が必要な時代になってきています。
偉くなりたい、出世を目指しているなら簿記が必要です
もし、あなたが「将来出世したい」「経営に関わりたい」というのであれば、簿記の知識は持っていたほうがいいでしょう。
簿記が必要になる理由
経営のためのお金の知識が必要
月の収益等の管理報告が必要
物品の仕入れ額の管理などが必要
などなど…
こういった管理を管理職になると必然的にやらなくてはいけなくなるからです。
中間管理職だったとしても、上司からの要望で収入のデータ作成を行ったり、前月との収支のデータを作ったり…簿記が必須ではないかもしれませんが、“お金の流動”に関して敏感でなければいけません。
これは医療事務に限った話ではなく、
偉くなる(管理職)=お金の管理に強くなる
というスキルが必要とされてきます。
偉くなるということは、現場でどうこうのレベルの話ではなく、会社全体でどう価値を見出していくかの話しになってくるんですね。
だから長い目で考えるのであれば簿記の知識は必要といえるでしょう。

資格手当がでるなら医療事務の資格を優先した方がいい
大きめの病院になると医療事務の資格を持っていると資格手当がでる場合があります。
医師事務補助などもっていると有利になるかも。
病院によってあるなしがハッキリ別れるので、転職される場合は確認をしていたほうがいいかもしれません。
ただ、資格手当は基本給と違い、いつでもなくなる可能性があるのでそこまであてにしない方がいいかも
医療事務から総務や経理に人事異動する可能性があるなら勉強しておいて損はない
大学病院、総合病院などの規模が大きい医療機関では、人事異動などで医療事務以外の総務や経理に移動になることもあります。
実際に、定期的にローテンションで移動を行っている医療機関もあります。
そうなったときに、“医療事務の知識だけ”持っていても、部署移動になったときにすぐに対応することが難しくなります。
もちろん、部署移動になってから覚えるスタンスでも問題はありませんし必須ではありません。ただ、多少なりとも事前に総務や経理(簿記)の知識があれ、人事異動があったときにスムーズに対応できるようになるし、職場からの評価も上がる確立も高いでしょう。
個人的なスキルアップが目的ならOK
医療事務は業務に慣れてくると単純作業が多くなってきます。
毎日の仕事が「つまらない」感じることもあるでしょうし、「このままじゃ自分はスキルアップできないかも」と焦りを感じることもあるかもしれません。
関連記事 医療事務の仕事はつまらない?原因は自分に合っていないから
そんなときに簿記を勉強するのはとても良いことだと思います。
実際に、私も「このままじゃヤバイかも」という気持ちからいくつか資格取得や勉強をしました。
仕事以外の知識を勉強することで、人生に刺激を与えることもできますし、いざとなったときに「医療事務からの転職」するときに有利にはたらくでしょう。
関連記事 医療事務から転職する時のタイミングは?具体的に辞めるべきとき
なので、自分自身のスキルアップのため!と割り切って行動を起こす分には簿記の勉強もよいかもしれません。
関連 実際に私が勉強したスキル
>>【医療事務に必要な資格】ファイナンシャルプランナー(FP)がオススメの理由とは
これからの具体的な転職や就職先が決まっていないなら簿記からでいいかも
これから「医療事務で働く」と決めているのであれば医療事務の資格から勉強するのがいいでしょう。
でも、漠然とどっちから勉強しようかなと迷っているのであれば、簿記の勉強をしたほうが効率的かも。
理由は
医療事務の資格はひとつの職種でしか効果を発揮しませんが、簿記であれば他職種で通用するからです。
まずは、簿記の勉強をしてみる、それでものたりなかったら医療事務の資格の勉強をするのもいいかもしれませんね。
医療事務の転職やスキルアップのためなら医療事務資格を取得したほうが効果的
医療事務とした働くうえで簿記の知識は必須ではありません。
ないよりはあったほうがいいですが、無くても転職や就職は十分に可能です。
もし、医療事務に就職、転職したいと考えているのであれば、まずは医療事務の資格の勉強をしてスキルアップを目指す。
簿記をとるか迷っているのであれば、まずは簿記の勉強をしてみて物足りなければ医療事務の資格に挑戦してみてもいいでしょう。
自分の必要としているものから逆算して考えていくことで優先順位もつけやすくなると思いますよ。