労災患者でリハビリを実施している場合、健保基準に準じて算定することから、目標設定等支援・管理料は算定基準に準じて点数を算定していると思います。
しかし、これが労災患者で介護保険証を持っている場合はどうでしょうか?
そもそも、算定ができるのでしょうか?
結果として
労災患者で介護保険証を持っている場合、目標設定等支援・管理料は
- 介護保険申請の理由が“労災病名” → 算定できる
- 介護保険申請の理由が“私病” → 算定できない
ということでした。
本記事は、医療事務関係の方に向けて、実際に私が労働基準監督署に問い合わせをして、確認した情報を本記事ではまとめています。
Q.労災患者はH003-4目標設定等支援・管理料は算定できるのか(介護保険証あり)
労災患者の情報として
- 脳血管リハビリテーションを実施中
- 算定期限の3分の1は経過している
- 介護保険証を持っている(ただし、介護保険の申請理由は労災疾患が原因ではない)
こういった患者がいる旨を労働基準監督署に伝えて、
という質問をしてみました。
A、労働基準監督署の回答
労働基準監督署に問い合わせをした回答としては…
- 介護保険を申請した原因が“労災疾患”が原因であれば、算定できる。
- 介護保険を申請した理由が“私病”であれば、算定できない。
例えば、労災病名の脊髄損傷が原因で介護保険を申請することになったのであれば、健保基準に準じて目標設定等支援・管理料を算定できる。
ただし、ケースバイケースのようで、とりあえず請求してみて審査のほうで判断するようです。
労災が原因で介護保険を申請していた場合、ほとんどのケースで算定OKみたい。
回答の根拠となるものは、労働基準監督署本庁からの回答で
各監督署に多数の医療機関から問い合わせがあり、
各監督署→本庁へ確認→各監督署へ回答というのがソースでした。
問い合わせをする前に考えていた推測
労働基準監督署に問い合わせをする前に、自分なりにも目標設定等支援・管理料が算定できないのでは?という考えがありました。
結果的に関係は無かったのですが、もしかしたら同じように考えている方がいるかもしれないので参考までにまとめておきます。
※下記は個人の推測であり、正しい情報は上記の労働基準監督署からの回答です。
健保の診療報酬の手引きの中の、各疾患別リハビリテーションの各規定(例:脳血管リハだったらH001)の注6によると、算定基準日の3分の1経過した後に引き続きリハビリを行う場合において過去3ヶ月以内に目標設定等支援・管理料を算定しない場合には、リハビリ点数を“減算する”とある。
しかし、労災算定の規定によると、労災では、それらが適応されないとされています。
※出典元は公益財団法人 労災保険情報センター著「労災診療費 算定実務講座」からです。
つまり、労災患者で介護保険証を持っており、算定期限の3分の1を経過して、なおかつ目標設定等支援・管理料を算定していなくても、通常のリハビリ点数を“減算しない”で算定してもOKということです。
目標設定等支援・管理料を算定していなくても、減算なくてよいということは、逆に言えば、
目標設定等支援・管理料については、注6に付随して算定できないという認識でよいのではないか?という考えでした。
メモ
つまり、目標設定等支援・管理料を算定しても、していなくても、減算することなくリハビリの通常点数を算定できるのであれば、そもそも注6の中にある目標設定等支援・管理料自体が算定できないのは?という考えからでした。
まとめ
- 介護保険を申請した原因が労災疾患が原因であれば、算定できる。
- 〃 私病であれば、算定できない。
というのが正式な回答でした。
結局…
私が考えていたことは関係なかったみたいで、労働基準監督署本庁の決定で正式な回答があったようですね。(もっと早く聞いとけば良かったです^_^;)
労働基準監督署の会話の中でも
私「上記の理由で算定できないと思うのですが…」
労基「いいえ、関係ありません。本庁の決定事項です。」
とバッサリ意見をきられてしまいました。
調べた時間はもったいなかったけど、改めて労災について詳しくなれたのでよかったです。
あわせて読みたい