実践!!対応事例集 自賠責・第三者のまとめ

自賠責・第三者の請求方法までの流れと対応 ~事故の患者がきた場合~

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医療事務として働き始めて、受付・外来を経験してきたら任されるのが自賠責と労災ではないしょうか。

若干、面倒な患者さんが多いイメージがありますよね・・・

それでも任された以上は耐えなければいけないこともでてくるかと思います。。。つらいっ!!

今回はその自賠責(交通事故)の請求までの流れについて書いていきます。

 

※患者さんの立場の場合はこちらの記事へどうぞ!

事故にあってしまったときの病院受診の流れ!簡単な方法を医療事務員が伝授します

自賠責の症状固定に納得いかない!保険会社に一方的に打ち切られたときの原因と対応

外傷性頚部症候群の後遺障害の認定でもらえる慰謝料はどれぐらい?

 

※事故患者の窓口での対応方法については別の記事も

事故患者が受診したときの窓口での説明方法

事故患者の対応方法とマニュアル

 

※院外薬局の対応の参考記事

自賠責の患者に処方せんが出た時の院外薬局の対応方法

 

自賠責、第三者請求の流れ

自賠責や第三者についての知識は重要ですが、実際に事故患者の対応をする場合、決まった流れを作っておいたほうが患者さんへの対応もスムーズに行きやすいです。

また、流れに沿って対応していくだけでよいので、自分自身も対応しやすいと思います。

対応の流れと手順、自賠や第三者とはなにか、ということを順に説明していきたいと思います。

 

請求先の確認

一番最初に大事な事を書いておくと

 

原則として交通事故の被害者であっても、治療費は窓口で支払わなければいけません。

 

この原則を前提に話を進めていかなければいけません。

 

しかし・・・

実際は、事故で病院受診をしたほとんどの場合、任意の自動車保険会社が診療費に関して仲介してきます。

その場合、診療代は自賠責保険を使って、自動車保険会社が負担するケースがほとんどです。

 

”基本的に治療費は本人に支払ってもらう”ということ念頭においたうえで

ほとんどの実務の場合は保険会社が対応する、と覚えておいた方がよいでしょう。

 

最初にすること

事故をした患者さんが受診した場合に、なによりもまず、最初に確認しなければいけないことは診療代の請求先です。

通常、自賠責は被害者請求・加害者請求という形が基本です。 

ただ、上記でも触れたように、治療費の請求に関して保険会社が介入することがほとんどです。 

 

後述する本人への確認事項でもありますが、一番は請求する保険会社を確認しなければいけません。

この事はとっても重要で、患者さんは支払いの方法や事故状況を把握していないことが多いです。

なので、相手の保険会社さえわかっていれば、そこへ連絡してある程度の状況を把握することができます。

 

患者さんが全く状況を理解していないとき、私はよく保険会社の連絡先を聞いてそこで改めて状況を確認します。

そのほうがスムーズに話が進みますね。

 

被害者が受診した場合、多くの患者さんが被害者意識を持っている事が多く、患者としては、「相手が悪いんだから自分は治療費を払わなくて当然」というスタンスで来ていることが多いです。

 

ましてや、被害者請求や加害者請求なんてものは面倒で、被害者の患者も事故が初めてで、わからないことばかりでとまどっているはずです。

 

患者さんのためにも、保険会社へ直接請求する方がより親切だし、病院側としても請求が統一しやすいので、管理もしやすくなるメリットもあります。

 

ポイント

原則の考えは本人支払い。実務での請求先は保険会社。

保険会社の連絡先を確認し請求はそちらへ。

 

保険会社はなぜ面倒な手続きを引き受けるのか

  1. 健康保険証使用の誘導
  2. 過失割合を過大に主張できる
  3. 一方的な打ち切り通告

などの理由があげられます。

 

健康保険証を使用することで、保険会社が負担する保険金が自賠責(自由診療)を使用するより安くですみます。

保険会社も商売なので、抑えれるお金は抑えておきたいというところでしょう。

 

また、保険会社が直接、病院に支払いをすることで、患者さんと保険会社の両方で払い戻しの手続きを省略をすることができるというメリットがあります。

実際に自分で被害者請求の手続きをするのは面倒ですし、説明するほうも大変なので、保険会社が仲介してくれるのはありがたい部分ではあります。

 

他にも保険会社が直接、病院へ診断書や診療報酬明細書を請求するため、保険会社は患者の治療状況を把握することができます。

なので、保険会社も症状固定(治療の中止)を患者へ促しやすいのです。

 ※実際に保険会社から患者本人へ症状固定を促しているケースはとても多く、よく患者さんから病院に『保険会社から中止と言われたが、もう事故で治療はできないのか?』と問い合わせを受けます。

保険会社としては、早く治療を終えて、少しでも保険金の費用を抑えたいのでしょう。

 

また、上記の診療明細書関係は個人情報になりますので、患者から同意書を取り付けるのが望ましいです。

※同意書を取り付ける理由の記事はこちらから

自賠責の症状固定に納得いかない!保険会社に一方的に打ち切られたときの原因と対応

 

 患者への確認事項

患者さんが事故で受診に来た段階で確認・必須事項をまとめました。

 

患者への確認とやる事

請求先(保険会社)の確認

   〃     の担当者の名前

   〃     の連絡先(電話番号)

自賠責 OR 健保使用の確認

同意書の取り付け

上記の内容は必ず、確認しておきましょう。

 

また、患者の任意にはなりますが、警察提出用の診断書が欲しいと言ってきた場合は発行をしてあげましょう。

警察提出用の診断書(交通事故証明書)とは?どんなときに提出するの?

 

入院などになり自費の分が発生した場合

  • テレビ代
  • 病衣貸出代
  • 病院洗濯代
  • オムツ代
  • 個室利用代

などの自費が発生する場合はここも確認しておきましょう。

自費分を保険会社が支払うケースと、一旦は患者さん本人が支払う場合もあります。

 

後者の場合は大体、後から保険会社が払い戻しをするので本人にお金が戻っていきます。

ただ、ここら辺の自費分に関しては、患者個人の保険の契約内容によってことなりますので注意が必要です。

 

自賠責と第三者の違い

事故で受診した際の請求方法として自賠責や保険証を使用するといのうはわかるけど、具体的な違いとはなんでしょうか?

ここでは大きな違いだけをあげていきます。

 

自賠責

先に重要なことを書いておきます。

自賠責=自由診療

ということになります。つまり病院が自由に診療代金を決めることができます。

 

極端な話をしてしまえば

1点 = 100円

とかで病院が勝手に決めて請求してもOKなわけである。

 

しかし、社会的にみてもさすがに通用する金額は上限があります。。。

(過去に1点単価が高すぎると裁判に発展した事例もあるようです。現在までの裁判所の裁判例では、1点単価25円まで認められています。)

 

そうならないように、日医で基準を定めたものがあります。それが新基準(労災に準じて算定)です。

トラブルにならないためにもほとんどの病院では労災に準じて算定するとしています。

 

※医療機関の自賠責の取り扱いについて詳しく書いてある記事

医療機関での自賠責の取り扱いとは

 

第三者

これは、交通事故だけれど保険証を利用して診療するということです。

通常、事故は自賠責が優先され、保険証は使えないようなことが言われたりしますが、それは間違いです。

事故でも保険証は利用できます

 

そのかわり、患者は保険者に『事故でケガしたので病院受診します』と届け出をしなければなりません。

(第三者届というものです。)

 

そして、医療機関もレセプトに第三者とわかるように特記を記載しなければいけません。

 

保険請求した分の費用に関しては後から

保険者⇒保険会社(加害者)へ請求

という仕組みになっています。

 

厳しい病院になると事故で保険証は使えません、なんていうところもあるようです。

自賠責の場合は労災基準なので保険診療の1.2倍で算定できますからね。

しかしこれはウソとまではいかないですが、説明不足なところでもあるかもしれません。

 

※事故で保険証を使う場合について詳しく書いてある記事

第三者行為とは、仕組みと医療機関での取り扱い

交通事故で保険証を使用する場合(第三者請求)

 

請求時の注意点

交通事故患者が受診した際の注意点が何点かあります。

特に初期の段階で行っていくことですので、最初の確認事項として頭に入れておくことをオススメします。

 

 注意点① 対応方法

保険会社がよく言う『一括対応でお願いします』は注意が必要です。

下記の2つでは言葉が似ていますが、請求方法がまったく異なってきます。

必ず下記のどちらの対応なのか、確認をとっておいてください。

 

自賠一括

「自賠一括対応でお願いします。」

この場合は、よくテキストなどに載っている自賠責の請求手順などでOKです。

これはスタンダードな感じなので対応しやすいと思います。

 

人傷(人身傷害)一括

「人傷(人身傷害)一括対応でお願いします。」

 

この場合は注意が必要です!!

 

よくあるのが。。。

保険会社から『患者の保険証使用の一部負担金を患者さんへ請求せずに、直接、保険会社へ請求してください。』

といってくることがありますが・・・・

 

これは断じてやってはいけません!!

 

というか法律で決まっているらしいです。。。

健康保険法(大正11年4月22日法律第70号)

(一部負担金)

第74条 第63条第3項の規定により保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受けるも者は、その給付を受ける際に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき第76条第2項又は第3項の規定により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない。

上記の健康保険法の規定で、健康保険証を使用した場合、患者は一部負担金を窓口で支払うことが義務付けられているからです。

 

事故だからとか、そんな特別な理由ではなくて、単純に保険証を使うということは、健康保険法に則って行わなければいけません。

 

よって、治療費の支払いに関しては、通常の患者さん同様に窓口での一部負担金が望ましいです。

アドバイス①

本来、保険証を使用する場合は、患者さんから一部負担金をもらわなければいけませんが、実務では一部負担金を直接保険会社へ請求している医療機関もたくさんあります。むしろこっちの方が多いです。

保険会社へ保険証を使用する場合は一部負担金を患者へ請求します。と伝えると確実に「他の病院ではそんなことしない。直接、請求してもらっている。」と言われます・・・

他の多くの医療機関で行っているように、必ず患者さんから一部負担金をもらわなければいけない!!という事はないので、あくまで自分の勤務先の方針に沿って対応していけばいいと思います。一部負担金を直接、保険会社へ請求したとしても、問題とかにはなりませんので大丈夫です。

 

アドバイス②

もし、今後、人傷一括(健保の第三者請求)の一部負担金の請求方法を変更していこうと考えている医療機関などがあるなら、窓口で一部負担金を支払わなければいけない理由を、必ず説明できるようしなければいけません。

私の勤務病院でも、以前は健保使用で一部負担金を保険会社へ請求していたのですが、上記の健康保険法を知ってからは、患者さん本人へ請求するようにしました。

そうすると、以前から付き合いのある保険会社の担当の方から、「以前は直接請求してもらってましたけど、なぜですか?」って頻繁に聞かれるようになりました。

「当院のシステムが変わったんです!!」で終わればいいのですが、「そんなの聞いたことがない!!」と食いついてくる保険会社もいるので、こういうときに反論できるようにしておこうという事です。

 

 人傷一括とは

患者本人が車の任意保険にかけている、人身傷害保険の一部なので患者と保険会社の間での契約になります。

患者と病院の間では、そんなこと知ったことではないので基本的には無視してよいのです!!

 

とまぁ・・・そんな冷たい対応もできないので、勤務先の病院の方針に沿って対応していけばいいと思います。

保険証を使用するとなれば、上記のように一部負担金を患者から徴収してもいいし、直接、保険会社へ請求を行ってもいいと思います。

 

 注意点② レセプト記載

・レセプトに特記【第三】をつける

・レセプトに【事故外点数を記載する】

 

上記2つはなぜつけるのか

それは通常の保険請求するレセと同じ方法で保険者(国保連合、支払基金)などに請求するからです。

上記がなければ、そのレセが事故で受診しているかもわからないからです。

 

ポイント

通常、事故で健康保険証を使用した場合は、保険者に第三者行為届けを提出するので、保険者も分かってはいると思うが、事故の治療と私病が混在したレセでは、保険者⇒保険会社へ求償するときに、治療内容のどれが事故で、どれが事故外で請求するのか、分かるように記載しなければいけません。

(私の勤め先の病院にも国保連合会とかから、『事故外点数は何点ですか?』ってよく問い合わせの電話きます。記載忘れてるときがあるんですよね。今は、医事コンが自動で入力してくれていますが。)

 

 注意点③ 健保使用時

第三者行為とは、その仕組みと医療機関での取り扱い方法について解説

交通事故で保険証を使用する場合(第三者請求)

 

自損事故で受診した場合

通常の健保使用扱いとなります。

つまり、普通の患者さんと同じ扱いになります。

第三者(第一者は患者、第二者は病院という考え方です)という請求する相手がいないですからです。

 

加害者の場合

だいたいは通常の健保使用扱いとなる場合が多いです。

(自損事故と同じで第三者請求する相手もいないわけですから)

ただ、これはちょっと難しくて、私もいまだに判断に迷いがあります。

 

一番良いのは、患者さん本人に保険者(国保なら役場や市役所、協会なら協会けんぽなど)に行くか電話して、事故での治療に保険証を使用してよいか確認をとってもらう。

そこで、必要があれば第三者の手続きを行うはずです。

それを患者から病院へ教えてもらい、レセプトに特記つけるか判断する。

 

最終的に第三者届けを出しているかは医療機関は分からないので、レセ時期に病院から直接、保険者に電話し第三者が出ているか確認をすれば確実です。

↑↑↑

上記は実際に私が市役所に電話して聞きました。

加害者といっても過失割合とかあるので、ここんとこが難しいみたいです。

(※後は、保険会社が介入していた場合はそちらへの確認も必要かと思います。後々、摩擦がおきないためにも)

 

健保使用時のアドバイス

上記では、第三者の届けが提出されたかを、保険者へ確認したほうがよいとしましたが、実際はそこまで確認を行うのは面倒です・・・

なので、自損事故であっても、加害者であっても、とりあえずレセには”第三者”の特記をつけていた方が楽です。

別に、特記をつけていたけど実際は違った!となっても、なにか問題が起きるわけではありません。

ただ単に、保険者から患者本人へ確認の連絡が行くぐらいだと思うので、医療機関としては全く問題ありません。

 

診療費の請求

用意するもの

・レセプト(自賠責書式or第三者書式)請求書として兼ねているもの。

・診断書

上記を作成し保険会社へ郵送します。

通常は一カ月ごとの作成、請求になりますが、どの期間で区切り作成するか明確にしておきましょう。

自賠責診断書の証明期間の書き方 期間はまとめて証明してもいいのか

事故で健保使用している患者の診断書が欲しいと保険会社が言ってきた場合の対応

 

ほとんどの保険会社は電話確認後、これらの書類を送ってきます。

自賠責書式の診断書と明細書であれば、送られてきた書類に記入して作成しても良いし、病院独自のレセプト作成ソフトや診断書作成ソフトがあると思いますのでそちらでもかまいません。

 

 同意書のとりつけと書式

一番初めの方に書いたように、個人情報や支払いの関係上、同意書の取り付けも必須になってきます。

保険会社が独自の同意書の書式で作成して送ってはきてくれるのですが、これだけでは少し足りません。

 

というのも、その同意書は保険会社と患者さんの間のみで同意されたものであって、同意した相手として病院は含まれていないからです(書式の表現としては含まれてはいる)。

 

これだけでは不確定要素が多いので、やはり病院は病院で患者さんに対して同意書をとりつけるのが望ましいということです。

 

同意書の書式

参考までに同意書のテンプレートを準備したのでよければ活用ください。

自賠責 委任状兼同意書

 

 まとめ

請求までの流れはこんな感じです。

よく事故の請求方法をネットで検索すると“被害者請求”や“加害者請求”なんていうのがでてくると思います。

これが本来の正しいやり方だと思います。

 

今回の記事は、医療機関側の目線で対応方法をまとめてみました。

 

自賠一括で保険会社へ請求しているのは、あくまで病院と保険会社のサービスと思っていいと思います。

病院事務のスタンスとしては、あくまで治療費の回収ということが最重要かと思います。

 

どこの誰が治療費を支払おうが、診療費が回収さえできれば問題ないと思うので、私としては最低限、請求先さえ確保できれば初期対応としては問題ないと思います(実際、私の対応方法がそんな感じです)。

 

実際に勉強して内容を理解されていても、やはり対応は実践が一番です。

わかっていても保険会社から強い口調で言われたり、患者から被害者意識の高い発言などで翻弄されたり大変だと思います。

そこはこちらもプロ意識をもって、毅然とした態度で対応していけるようにしましょう。

私も含めですが、保険会社や患者さんに負けないよう頑張っていきましょう。

 

 

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